味覺を読む|古書と喫茶⑩
圧倒的な中身を備えた一冊に出会うと、時空も現世も飛び越えて、未知なる彼方へと意識が誘われていく。嗚呼...
町の書店の衰退とともに、本との接点が変わりつつある。書店はいまや、繁華街やロードサイドなどの大型テナントビルで見かける大箱のチェーンストアが主流となった。同じように、喫茶店も姿を消しつつある。カフェと呼び名を変え、瀟洒な佇まいの空間は増えているようではあるが……。書店と喫茶店が失われていき、もしも大型書店とカフェでの淡白なシーンに変わっていくのであれば、少しでも「過去ではない今」を記録に残せればと考える。あの本をあの喫茶店で読むために、町に出る。そんな想いで本と喫茶が繋がっていくことを夢想しながら。
圧倒的な中身を備えた一冊に出会うと、時空も現世も飛び越えて、未知なる彼方へと意識が誘われていく。嗚呼...
東京都新宿区。新旧が織り混ざった街には、昭和から続く歓楽街の匂いがいまも漂い、都庁を擁した屹立するビ...
本を読むことで、遠い国の過去の話が蘇ってくる瞬間がある。このときが、そうだった。クラブとはいかなるも...
節度のある調度品に囲まれ、如才ない接客に心和み、瀟洒な空間で古書を取り出す。「くつわ堂 総本店」で『ク...
香川県高松市。町の中心に位置するアーケード街で、古くから営む喫茶室へと入る。佇まいを目にすれば、喫茶...
「ロゼ」で『時には母のない子のように』を読む。寺山修司という希代な作家の手による迸る文章に圧倒される...
高松市の中心地から少し離れた住宅街で、唯一無二の存在感を放つ喫茶店「ロゼ」。樹木が聳える店内で寺山修...
香川県高松市。正午。風変わりな佇まいの喫茶店に、今日もまた一冊の古書を携えて訪れる。本格的な洋食の趣...
高松で2番目に古い喫茶店「ナポレオン」で『舌鼓のうちどころ』を読む。珈琲と読書。昭和の中頃に書かれた“...
香川県高松市。朝の7時に営業が始まる古い喫茶店に、一冊の古書を携えて訪れる。モーニングを愉しみ、珈琲を...