
暑いからこそ、パンチの利いたものが食べたくなる! 発売中の「dancyu」夏号では、旨くて辛くて香りがよくて、思わずお腹が鳴るような肉たっぷりの中華を特集しています。今回はその中から、「四川家庭料理 中洞」の看板料理である、肉そぼろ和え麺をご紹介します。まずは、たれの味を支える「花椒油」と「辣油」のレシピを教えてもらいました。

暑くなると、無性に食べたくなるものがある。汗をかきながら啜る麺。鼻腔をくすぐるスパイスの香り。あとを引く辛味と痺れ。発売中の「dancyu」夏号で紹介している、巣鴨の「四川家庭料理 中洞」の“肉そぼろ和え麺”も、まさにそんな一杯だ。
「中洞」が目指しているのは、香り高く食べ疲れしない四川料理。味づくりのベースとなる香味油や乳酸発酵の漬物などは、すべて実直な手仕事でつくられたものだ。四箇条に凝縮された調理の理ことわりがシンプルにして奥深い家庭料理の本質を表している。
「和え麺一杯のために、わざわざ油からつくるの?」
「大変そう……」
そう思ったなら、少し待ってほしい。
この2種類の油さえ用意しておけば、驚くほど美味い“和え麺”がいつでも食べられるのだ。しかも保存が利くから、一度つくればしばらく楽しむことができる。中洞の店主・中洞新司さんが「味の核」として大切にしている花椒油と辣油。そのつくり方をまずは教えてもらった。

| 花椒 | 6g |
|---|---|
| 青花椒 | 4g(*) |
| サラダ油 | 300g |
| 湯 | 大さじ1/2 |
*緑色のまま完熟する花椒を乾燥させたもの。花椒(紅花椒)に比べて、柑橘系の香りが強く、爽快感のある痺れが特徴。
花椒と青花椒をフードプロセッサーに入れ、半割りになる程度に粗く挽く。ボウルに移して、湯を入れて混ぜ、蓋をして香りと水分を封じ込めつつ、花椒を“開かせる”。

油を170℃に熱し、数回に分けて②に注ぎ、蓋やラップをして一日置いた後に漉す。油を注いだらなるべく温かい状態をキープすることが重要。


| A | |
|---|---|
| ・ 一味唐辛子 | 10g(細挽き(*)) |
| ・ 朝天唐辛子 | 10g(粗挽き(*)) |
| ・ 韓国唐辛子 | 5g(粗挽き(*) ) |
| 老酒 | 大さじ1/2(または水) |
| サラダ油 | 300g |
| ★ 香りづけ用野菜 | |
| ・ 長ねぎの青い部分 | 2本 |
| ・ 生姜 | 3片(厚さ3mmに切る) |
| ・ ピーマンのヘタ | 3個分 |
| ・ パクチーの根 | |
| ・ セロリの葉 | 1本分 |
*国産の一味唐辛子は辛味、中国産の朝天唐辛子は旨味、韓国唐辛子は色と甘味を出す目的で使う。
Aを合わせてボウルに入れ、老酒をかけて全体になじませる。あらかじめ軽く湿らせておくと、熱々の油を注いだときに、唐辛子が焦げにくくなる。
長ねぎの青い部分は、香りが出やすいように半分にちぎる。パクチーの根が太い場合、縦に切り目を入れる。
鍋に油、ねぎ、生姜を入れて中火にかける。油の中で上下に返しながら、じっくり香りを油に移す。やや茶色くなってきたら、ピーマンのヘタ、パクチーの根、セロリの葉を加える。全体が茶色くなり、青臭い香りがとんだら、焦げる前にすべて取り出す。

①に③を数回に分けて注ぎ、香ばしい香りを引き出す。油の温度は180℃。焦がさないように数回に分けて注ぐ。

蓋やラップをして保温し、3日間置いて、唐辛子の旨味や甘味を引き出す。上澄みの油だけでなく、底に沈んだ唐辛子も具材として和え麺に活用する。2回目以降は唐辛子を湿らせるときに、すでにつくった辣油の沈殿物大さじ1を加えると、仕上がりの風味に奥行きが増す。

調理師学校卒業以来、中華一筋。各店で修業を積み、四川省成都市へ渡航。語学留学を兼ね、本場の味を体に叩き込んだ。帰国後は神楽坂「芝蘭」料理長を経て、自身の店を開いた。

文:佐藤貴子 撮影:安彦幸恵