尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
余った"海苔の佃煮"の新たな使い道!ご飯がすすむ"麻婆豆腐"

余った"海苔の佃煮"の新たな使い道!ご飯がすすむ"麻婆豆腐"

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。前回に続き、お題は“海苔の佃煮”。最後まで食べきれないご飯の友が、白米にもよく合う、ちょっぴり和風な麻婆豆腐に変身します!

“海苔の佃煮”が中華おかずに!

前回、尾身さんがつくってくれたのは、“海苔の佃煮”を使った絶品の“炊き込みご飯”。旨味たっぷりの海苔の佃煮がだしとして使えることを教わったが、今回もまた意外な使い道を伝授してくれるという。さっそく冷蔵庫から出してきたのはなんと、豆腐!

「“海苔の麻婆豆腐”をつくります。びっくりするかもしれませんが、海苔の佃煮の旨味が不思議と、甜面醤(テンメンジャン)のような役割を果たしてくれるんです。海苔と豆腐の相性もぴったり!」

さっそく試食してみると、海苔の香りが意外なほど麻婆豆腐にマッチ!ちょっぴり和風の味わいで、白いご飯にもすごく合うのだ。海苔のやさしい風味に合わせて、豚ひき肉ではなく、鶏ひき肉を使うのもまたポイントだ。

尾身さん
海苔の佃煮と豆腐があれば、今夜のおかずは決まり!

麻婆豆腐のコツは“塩ゆで”にあり!

さて、麻婆豆腐は、どんな豆腐を選ぶかでかなり味わいの印象が変わるものだ。今回、尾身さんが選んだのは絹ごし豆腐。つるりとなめらかな食感でおいしいが、家庭では煮くずれてしまうのが怖くて、木綿豆腐を選ぶ人も多いのではないだろうか。ところが、尾身さんがつくってくれた麻婆豆腐は、豆腐のエッジが立っていて、つるりとした食感もいい。どうすればこんなふうに仕上がるのか聞いてみたところ、豆腐を“塩ゆで”してから使うのがコツなのだという。

「塩ゆでといっても、鍋でゆでなくても大丈夫。塩を加えた熱湯に浸すだけでいいので、ちっとも面倒じゃないんですよ」

さっそく実践してもらったところ、豆腐はまず2.5cm角に切って、耐熱性のボウルへ。そして、塩小さじ1/2を溶かした熱湯500mlを、豆腐に当たらないようにそっと注ぎ入れる。10分ほど浸せば、あっという間に塩ゆで完了!あとはザルにあげて、水気をきってから使えばいい。

豆腐
塩を溶かした熱湯に豆腐を浸すだけ。
豆腐
ザルで水気をきればプルンとした食感に!

「塩ゆですると豆腐の余分な水分が抜けて、煮くずれにくくなるんですよ。しかも、プルンとした、絹ごし豆腐ならではのなめらかさも引き立ちます。海苔の麻婆豆腐のやさしい味わいには絹が合うので、ぜひ試してみてくださいね!」

“海苔の麻婆豆腐”のつくり方

完成

材料材料 (2~3人分)

絹ごし豆腐1丁(300~350g)(2.5cm角に切って塩ゆでする)
鶏ひき肉120g
海苔の佃煮大さじ2と1/2
ザーサイ大さじ1(粗みじん切り)
生姜大さじ1(みじん切り)
にんにく大さじ1/2(みじん切り)
長ねぎ1/2本(粗みじん切り)
赤唐辛子小さじ1(乾燥、小口切り)
米油大さじ1(サラダ油で代用可)
紹興酒大さじ1
★ 水溶き片栗粉
・ 水小さじ2
・ 片栗粉小さじ2
粉山椒適量

1鶏ひき肉を炒める

フライパンに生姜、にんにく、米油を入れて中火にかけ、香りが出たら赤唐辛子と鶏ひき肉を加えて炒める。鶏ひき肉の色が変わったら、ザーサイを加えて炒め、油がまわったら紹興酒を加えてさらに炒める。

鶏ひき肉を炒める

2海苔の佃煮を加える

紹興酒のアルコール分がとんだら、水150ml(分量外)と海苔の佃煮を加えて溶き混ぜる。

海苔の佃煮を加える
海苔の佃煮を加える

3豆腐を加える

煮汁が煮立ったら豆腐を加え、温まるまで煮る。ここで味見をし、薄ければ塩少々(分量外)を加えて調える。

豆腐を加える

4とろみをつける

水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、長ねぎを加えてひと混ぜしたら出来上がり。器に盛り、粉山椒をふる。

とろみをつける
とろみをつける

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。