尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
食べきれない"焼きいも"で!絶品すぎるふわもち"ニョッキ"

食べきれない"焼きいも"で!絶品すぎるふわもち"ニョッキ"

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。前回に続き、今回も残った“焼きいも”を使った一品。意外なイタリア料理に変身します!

しっとり&ねっとり系の焼きいもが余ったら

前回は“焼きいも”のおいしい焼き方に加えて、ハーブの香りがたまらない“焼きいものトスカーナポテト風”のつくり方を教わった。今回は、昨今の焼きいも事情をふまえた“フードロサない”レシピを尾身さんが教えてくれるという。

「最近はいろいろなさつまいもの品種が登場していますが、ここ数年の焼きいも人気をけん引しているのはやっぱり、しっとり&ねっとり系。クリームみたいになめらかで蜜のような甘さのものもあって、驚いちゃいます。そこで今回は、そんなトレンドの焼きいもが余ったらつくってほしいレシピです!」

尾身さん
ホクホク系もしっとり&ねっとり系も、それぞれのおいしさ!

そう話しながら尾身さんが取り出したのは、薄力粉。なんと、焼きいもをつぶして粉と合わせて、イタリアの手打ちパスタ“ニョッキ”をつくるという。

「ニョッキといえば、つぶしたじゃがいもと合わせてつくるレシピがおなじみですが、焼きいもに置き換えてつくります。しっとり&ねっとり系の焼きいもは水分が多いので、薄力粉と合わせると、ちょうどいい食感になるんです」

焼きいもがあれば手打ちパスタも簡単!

手打ちパスタと聞くとハードルが上がるが、焼きいもをマッシュして薄力粉と一緒にこねるだけなので、手順はいたってシンプル。あとは成形して、白玉団子のようにゆでればいい。

「専用のニョッキボードがなくても、フォークで代用できます。ちょっとつぶして筋目をつければ、見た目がきれいなだけでなく、ゆでるときに火が通りやすくなるんです」

ここでふと、「しっとり&ねっとり系ではなく、ホクホク系の水分が少ない焼きいもでこのニョッキはつくれないのだろうか?」という小さな疑問が。尾身さんにぶつけてみると、こんな裏ワザを教えてくれた。

「ホクホク系でもつくれますよ!そのときは、溶き卵を加えて水分を補ってください。さつまいもの品種によって水分量は異なるので、生地がまとまらないと感じたときもに少しずつ加えて、様子をみながら調整してくださいね」

なるほど!どんな焼きいもでもつくれると聞けば、ますますつくりたくなってくるというもの。そんな極意を教わるうちにニョッキがゆで上がり、ソースの鍋へ。生クリームとブルーチーズにハーブを加えて温めるだけのソースも、気負わずつくれるのがいい。

こうして完成したニョッキを味わってみると、ふわっもちっとした食感が軽やか!ブルーチーズのソースは濃厚なのに主張し過ぎず、焼きいものやさしい甘味を引き立てているのだ。

「市販の焼きいもを使えばさらに簡単!ぜひ、赤ワインをスタンバイしてつくってくださいね」

“チーズソースの焼きいもニョッキ”のつくり方

完成

材料材料 (2人分/約35個)

焼きいも300g(しっとり&ねっとり系、皮をむいた正味)
薄力粉50g
★ ソース
・ 生クリーム200ml(乳脂肪分35~36%)
・ ブルーチーズ80g(ゴルゴンゾーラなど)
・ ローズマリー2枝
・ ローリエ2枚
黒胡椒少々

1焼きいもをつぶす

焼きいもは皮をむいて、ゴムベラで塊がなくなるまでつぶす。

焼きをつぶす

2小麦粉を混ぜる

薄力粉を加えて、焼きいもに粉がなじんで一体感が出るまで、よく混ぜ合わせる。

小麦粉を混ぜる
小麦粉を混ぜる

3生地を分割する

台に打ち粉(薄力粉、分量外)をふり、生地を直径2cmほどの棒状に成形する。ナイフで約2cm幅に切り出し、分割する。

生地を分割する
生地を分割する

4成形する

楕円に丸め、フォークの背を押し当ててつぶし、転がしながら跡をつける。

成形する

5ゆでる

鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(湯量の1%、1リットルに対して小さじ2程度)を加える。ニョッキを入れ、再沸騰してから2分ほどゆでる。網じゃくしですくい、くっつき防止のためにオリーブオイル(分量外)を塗ったバットに取り出す。

ゆでる
ゆでる

6ソースをつくる

フライパンにソースの材料を入れて弱火にかけ、ゆっくり加熱してハーブの香りを出しながらチーズを溶かす。

ソースをつくる
ソースをつくる

7ニョッキを加える

チーズが溶けたらゆでたニョッキを加え、軽くとろみがつくまで2~3分煮たら、出来上がり。器に盛り、黒胡椒をふる。

ニョッキを加える
ニョッキを加える

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。