尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
意外な使い道を発見!余った"海苔の佃煮"は"炊き込みご飯"が大正解

意外な使い道を発見!余った"海苔の佃煮"は"炊き込みご飯"が大正解

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、なかなか使い切れない“海苔の佃煮”。新米がおいしい、この季節ならではのレシピです!

“海苔の佃煮”はなぜ余る!?

おいしいけれど、なかなか最後まで食べきれないご飯の友といえば“海苔の佃煮”だ。中途半端に残った瓶は、いつの間にか冷蔵庫の奥深~いところへ。保存がきくとはいえ、一度開封したら2週間以内には食べきらなければならないとなると、これがなかなか難しいのだ。

「どうしようと思いながらも放置しちゃって、ずっと冷蔵庫にあるんですよね(苦笑)。甘くて味が濃いので、料理にも使いにくいし。海苔と相性のいいアボカドを和えるとおいしいですが、パッと思いつくのはそれくらいかしら……」

尾身さん
やっぱり冷蔵庫から出てきました、食べきれない海苔の佃煮!

尾身さんですら、手を焼いてきたとは!そこで今回は、長年の課題と向き合うべく、海苔の佃煮を徹底攻略してもらうことに。すると、思わぬ発見があったというのだ。

「旨味を含んだ海苔がたっぷり入っているので、実はだしのかわりに使えるんです!」

海苔の佃煮
なかなか減らない海苔の佃煮。これが、だしになるなんて!

ふわっと海苔のいい香り!

というわけで、尾身さんが教えてくれたのが、“海苔の炊き込みご飯”。土鍋で炊き上げたご飯は、蓋を開けるとふわっと海苔のいい香り!そこにたっぷりの釜揚げしらす、生姜と青じそのせん切りをのせて味わうと、至福のおいしさなのだ。

「意外な使い方でしょ?お米を炊くだしは、海苔の佃煮を水で溶いて、酒と塩を加えただけ。海苔の佃煮には砂糖だけでなく、醤油やかつお節なども入っているので、旨味たっぷり。めんつゆみたいにのばして使えるんです」

土鍋で炊けばお焦げもまたおいしく味わえるが、手軽に炊飯器で炊いてもかまわない。海苔の風味は海の幸と相性がいいので、薄切りにしたタコを一緒に炊き込んでも合うというから、アレンジする楽しさもありそうだ。

「海苔の佃煮は、1瓶の量がだいたい150g程度。この炊き込みご飯をつくれば40g近く使い切れます。一度つくればきっと、このご飯が食べたくて海苔の佃煮を買っちゃいますよ!」

“海苔の炊き込みご飯”のつくり方

完成

材料材料 (4~5人分)

2合(300g)
海苔の佃煮大さじ2と1/2
A
・ 水280ml
・ 酒大さじ2と1/2
・ 塩小さじ1/3
釜揚げしらす50~60g
生姜のせん切り10g(好みで多めに)
青じそのせん切り適量

1米を研いで水気をきる

米は研いでザルに10分ほどあげて、しっかり水気をきる。

米を研いで水気をきる

2海苔の佃煮を溶かす

土鍋にAを合わせ、海苔の佃煮を加えてよく混ぜて溶かす。水気をきった米を入れ、15分ほど浸水させる。

海苔の佃煮を溶かす
海苔の佃煮を溶かす

3土鍋で炊く

蓋をして弱めの中火にかける。土鍋から蒸気が上がってきたら、吹きこぼれない程度にシュッシュッと湯気が出る火加減に弱めて、10分ほど加熱する。火を止めて、そのまま10分ほど蒸らす。

土鍋で炊く

4しらすと薬味をのせる

蓋を開けて、しらす、生姜、青じそをのせる。ざっくり混ぜて、器に盛り分ける。

しらすと薬味をのせる

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。