料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は“そうめん”。猛暑続きのこの夏、ついつい買い過ぎて余らせていませんか?
とにかく暑かった、この夏!そんな毎日を救ってくれたのが、つるつるとのど越しのいい“そうめん”。今年は特に、登場回数が多かったのではいだろうか。とはいえ、秋が近づくにつれて、出番も減ってくるもの。贔屓にしている店からをまとめてお取り寄せしていたりすると、「まだこんなにある、早く食べないと!」なんてことにも。尾身さん、何かいい食べきり方はありませんかね?
「そろそろ飽きてくるころですよね。そんな人には、和え麺がおすすめです!」
そうめんでつくる和え麺!冷やし中華のような冷たい麺を想像しながら話を聞くと、ちょっと意外な食べ方だった。
「冷たい麺の上にあったかい具材をのせて、混ぜて食べるのが好きなんです。特によくつくるのが、豚バラ肉となすを油でいためて、醤油と砂糖で甘辛く味つけしたものをのっけたそうめん。以前にテレビのお仕事で、北京出身のゲストの方がつくっていらしたんですが、とても気に入っちゃって」
そんな尾身さんが今回教えてくれるレシピも、もちろん“冷たい麺&あったかい具材”の組み合わせ。名古屋名物の“台湾まぜそば”を、そうめんでつくってもらうことに。
そもそも“台湾まぜそば”とは、同じく名古屋めしとして知られる“台湾ラーメン”にルーツがある。名古屋にあるとあるラーメ屋が台湾ラーメンをメニューに加えようと、トッピングの台湾ミンチをつくってみたが、店のスープの味に合わなかった。そこで、汁なしの和え麺として提供したのがはじまりなのだとか。
「具材は豚ひき肉を甘辛く炒めた台湾ミンチとにら、小ねぎ、海苔、卵黄です。なんといっても、にらを生のまま細かくきざんでたっぷりのせるのが、“台湾まぜそば”のおいしさ!“そうめん”に合うんですよね」
さっそく、卵黄をくずして、台湾ミンチや薬味と一緒に麺にからめつつ、ひと口。パンチがあるのにまろやかで、シャキッとしめた細麺にからむ!薬味のにらが意外なほどさっぱりとして、あっという間に食べ進んでしまう。中華麺より軽やかなので、おかわりできそうなほどだ。
「汁なし麺なので、この台湾ミンチがタレがわり。豚ひき肉に味つけして炒めるときに、水分をとばしすぎないのがコツです!」
“そうめん”のおいしさが際立ちながらも、新鮮な味わいの和え麺。おうちで名古屋めし、ぜひ一度お試しあれ!
そうめん | 3把(150g) |
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胡麻油 | 大さじ1 |
★ 台湾ミンチ | |
・ 豚ひき肉 | 150g |
・ にんにく | 大さじ1と1/2(粗みじん切り) |
・ 生姜 | 大さじ1(みじん切り) |
・ 玉ねぎ | 50g(みじん切り) |
・ ザーサイ | 20g(みじん切り) |
・ サラダ油 | 大さじ1と1/2 |
・ 豆板醤 | 小さじ1 |
・ 酒 | 大さじ2 |
・ 醤油 | 大さじ1と1/2 |
・ 砂糖 | 大さじ1 |
・ 水 | 大さじ2 |
★ 具材 | |
・ にら | 大さじ2~3(小口切り) |
・ 小ねぎ | 大さじ2~3(小口切り) |
・ 海苔 | 大さじ3(細かくちぎる) |
・ 卵黄 | 2個 |
フライパンにサラダ油、にんにくを入れてから中火にかけ、油に香りを移しながら、じっくりと色づくまで炒める。
にんにく油に生姜、玉ねぎを加えて炒める。透明感が出たら豚肉を加えて炒め、8割方色が変わったら、ザーサイ、豆板醤も加えて炒める。肉に火が通ったら酒を入れ、醤油、砂糖、水も加えて炒め、半分くらい水分がとぶまで2~3分加熱する。
鍋にたっぷりの湯を沸かして、そうめんを投入し、袋の表示時間の通りにゆでる。冷水でしめてザルにあげ、水気をよく切る。ボウルに移し、胡麻油をからめる。
丼にそうめんを守分、肉みそ、小ねぎ、にら、海苔をのせる。真ん中には卵黄をのせたら出来上がり。混ぜながら食べる。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之