寒天はデザートによく使われますが、サラダでも大活躍してくれる食材です。ぜひ新しい食感を体験してみてください。料理研究家の植松良枝さんに、春に美味しい身近な野菜を使った、やさしい味わいの洋食を習いました。
テングサ・オゴノリなどの海藻を原料としてつくられている寒天。かつては主に農家の副業として冬の間にだけ生産されるものでした。寒天の凝固力はとても高く、1ℓの水を固めるために必要な量はわずか10g。寒天と同じく冷やすとゼリー状になるものにゼラチンがありますが、原料も性質もまったく違うものです。寒天の凝固点は40℃前後と比較的高く、室温で容易に固めることができます。また、一度固まったものは80℃以上にならないと溶けないのも特徴のひとつ。夏の室温で溶けだしたり、冷蔵庫でなければ固まらないゼラチンと違い、扱いやすい性質です。寒天はそのほとんどが食物繊維で、100g 中80・9gと、あらゆる食品のなかで食物繊維をいちばん多く含んでいます。しかも、この食物繊維はなめらかでおいしい食品そのものなのです。
棒寒天 | 1本(8g) |
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鶏ささみ | 2本 |
★ ささみの下味用 | |
・ 酒 | 少々 |
・ 塩 | 少々 |
・ 砂糖 | 少々 |
生姜の皮 | 適宜(あれば) |
きゅうり | 1/2本 |
小ねぎ | 3~4本 |
香菜 | 適量 |
★ ドレッシング(混ぜ合わせる) | |
・ ナムプラー | 小さじ1と1/2 |
・ レモン汁 | 小さじ1と1/2 |
・ 水 | 小さじ1 |
・ 豆板醤 | 小さじ1/2 |
棒寒天を一口大にちぎってたっぷりの水でよくもみ洗いしたら水を替え、かたい部分がなくなるまで30分ほどもどす。棒寒天は6~7倍にふくらむ。しっかり水気を絞ってから細かくほぐす。
ささみは筋を取り、耐熱皿に並べて下味用の調味料と、あれば生姜の皮をのせてふんわりとラップで覆い、500Wの電子レンジで1分半加熱し、裏返して1分加熱。そのまま粗熱が取れるまでおき、食べやすい大きさにほぐす。
きゅうりは縦半分に切ってから斜め薄切り、小ねぎは幅2cmに切り、香菜はざく切りにする。
ボウルに1、2、3を入れ、ドレッシングで和える。
料理研究家。人気の料理教室「日々の飯事」主宰。野菜の力を最大限に生かしてつくる料理は滋味あふれる味わい。土に接して野菜の生命を育むことに喜びを感じるというだけあり、野菜のおいしさを引き出すことにも余念がない。季節の楽しみは食べることはもちろん、日々の生活のなかでもフルに生かされている。寄せ植えやリース、椅子の置き場所ひとつにも、季節の喜びを演出して心地のよい空間をつくり出す。最新刊は『一度は使ってみたい野菜で、何度でもつくりたいレシピ』(弊社刊)が発売。
構成:中村裕子 写真:野口健志
この記事は四季dancyu「春のキッチン」に掲載したものです。