ビールにもワインにも合う、ガイヤーンをつくろう!家庭のキッチンでも本格的なタイの味に近づけるのは、マジカルな調味料“マジックペースト”を使うからこそ。スイートチリソースだって手づくりできるのです!
ガイヤーンの「ガイ」はタイ語で鶏肉、「ヤーン」は焼くという意味。つまり、焼き鳥のこと。タイの定番中の定番料理だ。
タイの街を歩いていれば、鶏肉を焼く屋台が当たり前のように見つかる。じっとり汗ばむ熱帯夜に、パリッと香ばしい焼き鳥を食らい、タイの薄~いビールをグビリ。これが実によく合うのだ。
煙をもうもうと立てながら屋台のように……とはいかないが、ガイヤーンは家庭でもつくれる料理だ。みもっと先生にさっそくつくり方を教えてもらった。
「鶏肉に下味をつけて焼くだけなので、とても簡単です。でも、マジックペーストは必ず用意してくださいね」
パクチーの根、にんにく、白胡椒でつくるマジックペーストを鶏肉にしっかり塗りつけることで、鶏肉特有の臭みが押さえられるという。
さらに、下味に使うココナッツミルクやシーユーカオなど、タイの調味料とマジックペーストの相乗効果で、肉全体が濃厚なタイの香りに包まれる。
調理のポイントは、焼き方にあり。
フライパンで焼く場合、弱火でじっくりと皮目だけを焼く。ひっくり返してから身のほうを焼くのは、ほんの1分程度に。これで皮はパリパリ、身はしっとりやわらかい仕上がりとなる。
「ね?簡単でしょ(笑)」
オーブンならば、天板に鶏肉の皮を上にしてのせ、230~240度で8分、160~180度で12分を目安に焼く。魚焼きグリルで焼いてもかまわない。
ビールやワインのつまみによし、冷めても美味しいのでお弁当のおかずにもよし。
タイ料理の「はじめの一歩」にも、ガイヤーンは最適の料理なのだ。
鶏もも肉 | 2枚(600g) |
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マリネ液 | |
・ マジックペースト | 大さじ1 1/2 |
・ ココナッツミルク | 大さじ5 |
・ シーユーカオ | 大さじ2(大豆を主原料としたタイの醤油。なければ、出汁醤油を代用してもよい。) |
・ ハードリカー | 大さじ1(甲類焼酎やウイスキーなど) |
・ オイスターソース | 大さじ1 |
パクチー | 適量(飾り用) |
鶏肉は皮にフォークを刺して穴をあける。
「このひと手間で、焼いたときに皮が縮まず、味もしっかりなじみます」
皮を下にしてバットに入れ、マリネ液の材料を表面に塗りつけ、30分ほど冷蔵庫で味をなじませる。
「はじめにマジックペーストを塗りつけてから、液状の調味料をまんべんなく塗りましょう」
フライパンに鶏肉の皮を下にして入れ、バットに残ったマリネ液も加える。中火にかけ、皮にうっすらと焼き色が付いたら弱火にし、蓋をして15分ほど蒸し焼きにする。皮がパリッと焼けてきたら、ひっくり返して1分弱焼く。
「皮目が香ばしく焼けたら、鶏肉をひっくり返します。このあと焼きすぎないことが大事です」
焼き上がったら、まな板や皿の上に上げておく。
石臼にプリックデーンを入れて種の粒がなくなるまで潰す。にんにくを加えて潰し、粒感がなくなり、プリックデーンと一体化したら鍋に入れる。ほかの調味料も入れ、弱火でときどき混ぜながら5分ほど煮詰める。
「5分ほど煮詰めたあと、ソースがサラサラしていても大丈夫。冷めれば、とろりとしたチリソースになります」
砂糖 | 大さじ8(みもっと先生は洗双糖を使用。タイではグラニュー糖を使う) |
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酢 | 80ml |
塩 | 小さじ2 |
にんにく | 大さじ1(みじん切り) |
プリックデーン(タイの赤唐辛子) | 1本分(みじん切り。なければ、大きめの生の赤唐辛子を) |
甘酸っぱくて少し辛い、自家製スイートチリソースのでき上がり!ガイヤーンのほかに生春巻きにも。冷蔵庫で1か月くらい保存できます。
食べやすく切って器に盛り、スイートチリソースとパクチーを添えれば完成。
「ビールもいいけれど、軽い赤ワインもよく合います。例えばブドウ品種でいうと、ガメイやグロロー、ピノ・ノワールがぴったりですよ」
――つづく。
タイ料理「みもっと」店主、タイ料理教室「おいしみ研究所」主宰。外資系広告代理店勤務を経て、2011年に家の都合によりタイに移住。もともと料理に興味があり、詳しくタイ料理を学ぶ。2012年よりおいしみ研究家・みもっととして活動開始。料理教室やタイ料理のケータリング、出張シェフサービスなどを行うようになる。2019年6月、日本の旬を取り入れた本格タイ料理レストラン「みもっと」を開店。カレーペーストからディップソースにいたるまで丁寧に手づくりするオーセンティックなタイ料理と、そこに寄り添うナチュラルワインを提供する。
文:佐々木香織 写真:森本菜穂子