料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回は、使い切れずもてあましている“柚子胡椒”で、おなじみの定番タイ料理をつくります!
前回は使い切れない“柚子胡椒”で“鶏の唐揚げ”をつくってくれた尾身さん。実はまだまだつくってほしい“フードロサない”レシピがあるのだという。
「柚子胡椒って、和食に使うイメージが強いじゃないですか。でも、今回はそんな思い込みをいったん捨ててください」
そう言いながら、柚子胡椒の隣に並べたのは、なんとナンプラー!意外な調味料の組み合わせだが、いったいどんな料理をつくるというのだろう。
「このふたつの調味料があれば、タイのグリーンカレーがつくれちゃうんです。意外でしょ?わざわざグリーンカレーペーストを買わなくてもOK。ぜひ、柚子胡椒を使い切れないときにつくってほしいんです」
家庭で手軽にグリーンカレーをつくるには、市販のペーストが欠かせない。ペーストを使わずに、どうやってあの味を再現するというのだろう。そんなモヤモヤを、尾身さんが吹っ飛ばしてくれた。
「グリーンカレーペーストは、青唐辛子やバイマックルー(こぶみかんの葉)などのハーブやスパイスをすりつぶしてつくったもの。柚子胡椒にも青唐辛子がたっぷり使われているし、柑橘のさわやかな香りを持つバイマックルーは、柚子の皮と通じるものがあります。なので、柚子胡椒があれば、かなりグリーンカレーペーストの味に近づけるというわけなんです」
なるほど!そんな尾身さんの解説に納得しつつも、実は「本当にグリーンカレーの味になるの?」と、ちょっとだけ半信半疑だったのも事実。ところが、試食してびっくり!口に運んだ瞬間、たちまちアジアの風が吹き抜けた!これは正真正銘、おいしすぎるグリーンカレーではないか!
「柚子胡椒って、本当に多彩な使い方ができる面白い調味料なんです。ぜひ、香りがとぶ前に使い切ってください!」
海老 | 6尾(殻付き) |
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たけのこ | 100g(水煮) |
なす | 1本 |
赤パプリカ | 1/3個(40~50g) |
玉ねぎ | 1/4個(50g) |
にんにく | 小さじ1(みじん切り) |
生姜 | 大さじ1(みじん切り) |
ココナッツミルク | 200ml |
オリーブオイル | 大さじ2 |
鶏ガラスープの素 | 小さじ1(顆粒) |
柚子胡椒 | 小さじ2 |
ナンプラー | 小さじ1/2 |
砂糖 | 小さじ2 |
温かいご飯 | 茶碗2杯分 |
バジルの葉 | 適量 |
たけのこは太めの千切りにし、穂先は薄切りにする。なすは1cm厚さの輪切りに、赤パプリカは細長い乱切りにする。玉ねぎは薄切りにする。
海老は殻をむいて背ワタを除き、水洗いしてキッチンペーパーで水気を拭き取っておく。殻はスープをとるので、捨てずに取っておく。
深めのフライパンにオリーブオイル大さじ1をひいて中火にかけ、にんにくと生姜を加えて炒める。香りが立ったら海老の殻を加えて炒め、こうばしい香りがしてきたら、水250ml(分量外)と鶏ガラスープの素を加える。3~4分煮て、殻を取り出しておく。
別のフライパンにオリーブオイル大さじ1をひいて中火にかけ、玉ねぎを加えてサッと炒める。香りが立ったら、なす、パプリカ、たけのこを入れてさらに炒める。野菜全体に油がまわったら、海老の殻でとったスープのフライパンに移し、蓋をする。なすがやわらかくなるまで弱火で煮る。
なすに火が通ったら、殻をむいた海老、ココナッツミルクを加える。
さらに柚子胡椒、ナンプラー、砂糖を加えて3分ほど煮たら、グリーンカレーの出来上がり。
茶碗などでご飯を型抜きして皿に盛り付け、カレーを添えてバジルの葉を飾る。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之