荻野恭子さんの手づくり調味料レシピ
自宅でつくる"ウスターソースと中濃ソース"

自宅でつくる"ウスターソースと中濃ソース"

寒い冬には、野菜とりんごをコトコト煮て、自家製のソースをつくってみませんか?手づくりできることにも驚きますが、その簡単さにも驚きますよ。料理研究家の荻野恭子さんから、日々役立つ調味料を習いました。

ウスターソースと中濃ソースのつくり方

料理研究家・荻野恭子さん
料理研究家・荻野恭子さん。

スーパーの売り場を覗けば、ありとあらゆる調味料が並んでいます。ウスターソースや中濃ソースもそう。どの家庭にも常備しているなじみのある調味料の一つですから、毎回、次はどれにしようか迷う方もいれば、わが家はこれ!と決めている方も多いでしょう。

実はウスターソースって、びっくりするくらい簡単に手づくりできるんですよ。こうした、買うのが当たり前の調味料を自分でつくってみると、私たちがふだん何気なく口にしているものが、どんなふうにつくられているのかはもちろんのこと、必要なもの、よけいなものもくっきりと見えてきます。

私の自家製ソースづくりは、女子栄養大学に通っていた学生時代から、かれこれ半世紀。子供たちもこのソースが大好きで、この味で育ったおなじみの調味料なの。

野菜や果物、スパイスなどの材料を揃えたら、水を加えてコトコトと煮込むだけ。食材からゆっくりと抽出されたエッセンスを漉したものがウスターソースです。さらに、漉した後の材料をミキサーでピューレ状にすれば、中濃ソースまで一緒につくれて一石二鳥。市販のものと比べて色が淡いのは、カラメルを入れていないから。その代わりに、ビネガーを黒酢にして、少し色を濃くしています。

手づくりソースはフライにかけるだけではなく、和洋中さまざまな料理に使える万能調味料。レシピを見て、ぜひ覚えてくださいね。

今回のもう一つの調味料はアンチョビ。魚を塩漬けにした発酵調味料は世界中にありますが、イタリアやスペインでは片口いわし、北欧ではにしん、カンボジアなどでは淡水魚と、国によって原料の魚はいろいろ。ここでは真いわしを使ってご紹介しますが、脂が多く酸化しやすい魚なので、仕込む前に水でよく洗うのがポイント。「鰯七度洗えば鯛の味」ということわざもあるくらいなのよ。こちらも、アンチョビと同時に副産物として魚醤がつくれます。

料理に塩気と旨味をプラスするアンチョビは、使い慣れるととても重宝するもの。レシピを参考にしながら、ソース同様に、活用してもらえるとうれしいです。

材料材料 (つくりやすい分量)

玉ねぎ1/2個
にんじん1/2本
セロリ1/4本
りんご1個
にんにく1片
生姜1片
煮干し10g
100g
きび砂糖150g
黒酢1/4カップ
トマト水煮1缶(400g)
オールスパイス大さじ1/2
タイム小さじ1/2
セージ小さじ1/2
黒胡椒小さじ1/2
ローリエ1枚
赤唐辛子1本

1下ごしらえ

玉ねぎ、にんじん、セロリ、りんごは角切りに。にんにく、生姜はすりおろす。煮干しは頭と内臓を取る。

下ごしらえ

2材料を中火にかける

鍋に下ごしらえした材料すべて、さらに残りの材料をすべて入れ(砂糖のみ2/3量を入れる)、水5カップを注いで弱めの中火にかける。

材料を中火にかける

3煮込む

ポコポコと小さく沸く火加減を保ちながら、20〜30分ほど煮込む。アクが出てくるが、スパイスまですくってしまうので取らないのがポイント。

煮込む

4漉す

野菜や果物がくったりと柔らかくなったらザルで漉す。ここで材料を押したりして汁を漉しすぎないこと。

漉す

5ウスターソースの完成

漉した液体を鍋に戻し、軽くとろみがつくまで火にかけたら、ウスターソースの完成。

ウスターソースの完成

6中濃ソースをつくる

④で漉した材料からローリエと唐辛子を取り除き、⑤のウスターソースから1カップを取り分け、ミキサーにかけてピューレ状にする。

中濃ソースをつくる

7仕上げ

⑥をあいた鍋に入れ、砂糖の残りを加えてひと煮立ちさせたら、中濃ソースの完成。

仕上げ
完成
(上)野菜や果物、スパイスの甘味、旨味を丸ごと閉じ込めたピューレ状の中濃ソースはウスターソースの副産物とは思えぬ味わい。優しい甘さを楽しんで。(下)さらりとシャープな液体は、素材からにじみ出る香りと味わいを凝縮した極上のエッセンス。万能調味料として、和洋中のジャンルを超えて大活躍。

教える人

料理研究家 荻野恭子

料理研究家 荻野恭子

料理研究家。世界中を旅しながら現地の家庭やレストランで料理を習い、食文化を研究するのがライフワーク。これまでに訪れた国は65カ国以上。特に“塩”は長年追いかけ続けているテーマの一つで、近著に『塩ひとつまみ それだけでおいしく』(女子栄養大学出版部)がある。ほかに『手づくり調味料のある暮らし』(暮しの手帖社)など著書多数。自宅で料理教室「サロン・ド・キュイジーヌ」を主宰。

※この記事の内容は、『四季dancyu 2022冬』に掲載したものです。

四季dancyu 2022冬
四季dancyu 2022冬
いつもの食卓をちょっと格上げ

A4変型 判( 120 頁)
ISBN: 9784833481748
2022年12月13日発売 / 1,100円(税込)

文:鹿野真砂美 撮影:伊藤徹也

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。