お正月に使った出汁がら昆布をストックしたら、出汁がらの相棒は梅干しです。昆布を梅干しと一緒に煮ると、ふっくら&なめらかに。昆布大使の松田真枝さんに、梅干しを使った最強の昆布料理を教わります。
出汁がら昆布を冷凍ストックしたら、梅干しを使った佃煮を鍋いっぱいにつくって常備菜に。
甘じょっぱい味に、ああ、ごはんが止まらない。
日本酒のアテにもたまらなく合いますから、もう一杯、ってなことにもね。
年末年始の疲れた胃腸には、おかゆと一緒がちょうどいい。
出汁がらを捨てるなんて、ほんとにもったいない。
おぼろ昆布、とろろ昆布を加工している 昆布屋さんに行ったとき、最初に昆布を酢に浸して柔らかくすると教えてもらいました。今回、紹介するのは梅干しで硬い出汁がらを柔らかく食べる方法。昔、中国で薬として珍重されていたという話をヒントに八角をひとかけら加えてみたら、ちょっとエスニックな甘い香り漂う佃煮ができ上がりました。食物繊維で腸の働きを助ける昆布に、消化を助ける作用のある八角の組み合わせです。もちろん、八角がなくても十分おいしくできますよ。
出汁がら昆布 | 120g |
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梅干し | 大2個(塩分17%) |
味醂 | 大さじ3と1/2 |
醤油 | 大さじ2 |
酒 | 大さじ2 |
八角 | ほんのひとかけら |
出汁がら昆布は、2cm角に切る。梅干しは種をとってちぎる。鍋にすべての材料を入れて水600mlを注いで強火にかける。沸騰したら中火に。蓋をして20~25分煮る。昆布が柔らかくなったら蓋を取って中弱火に、水分が煮詰まったら火を止める。容器に入れて冷蔵庫で1週間保存可。
こっくりと甘い大根の煮物は、どこか懐かしいおばあちゃんの味。
ひと口食べると疲れがとれて、しみじみとした気持ちになるから不思議だ。
大根を炒めてから煮ると、大根独特の匂いが消えるので、いったん炒めてから水を注ぐ。
このひと手間をちゃんとかけると、あとは昆布の底力で自然とおいしくなる!
甘じょっぱいは、北海道スタンダード。なので、今回は意識して、いつも北海道でつくっているレシピよりも砂糖を少し減らしています。大根は味が染み込みやすいようにナタ切りにするのですが、今回は大根と昆布の大きさを揃えて、短冊切りに。野菜の切り方を変えるだけで、ご馳走感が出てきました。
大根 | 10cm |
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出汁がら昆布 | 30~40g |
梅干し | 大1個(塩分17%) |
米酢またはサラダ油 | 大さじ1と1/2 |
砂糖 | 大さじ2/3 |
味醂 | 大さじ1 |
醤油 | 大さじ1 |
かつお節 | 1パック(小袋) |
大根は皮をむいて3㎝ほどの短冊に切る。かつお節は袋の上からもんで粉々にする。出汁がら昆布は大きなままならば、大根に合わせて短冊に切る。切って冷凍したものならば、そのまま使ってOK。フライパンに大根を入れ、米油を回しかけて混ぜ、中火で炒める。大根に油が回ったら砂糖を入れて混ぜ、全体を馴染ませる。
①の鍋に出汁がら昆布と梅干し、かぶるくらいの水400ml、味醂、醤油、かつお節を入れて中火にかけ、沸騰したら蓋をして中弱火で20~25分煮る。大根に火が通ったら、蓋を取り、さらに水分を飛ばす。
出汁がら昆布を梅干しと一緒にたたいて、極細のみじん切りに。
挽き肉に混ぜた昆布の粒々感でボリュームアップ。
これ、冷めても味がしみておいしいので、お弁当にもお薦め。
昆布と肉をしっかり噛むことで、消化もよくなり、体のバランスもよくなる。
出汁がら昆布を食べるって、体にとってもいいんです。
単純にミートボールに出汁がら昆布入れたら、おいしいだろうなあと思って考えたレシピです。やってみたら、料理教室で大評判でした。出汁がらのみじん切りはぬめりで滑るのですが、梅干しと一緒に刻むとうまくいきます。なるべく細かく刻んで挽き肉と混ぜたときに一体感を。隠し味のマヨネーズでほんの少しコクをプラスしてます。
出汁がら昆布 | 20~25g |
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梅干し | 20g(種をとって) |
豚挽き肉 | 150g |
粗塩 | ひとつまみ |
マヨネーズ | 小さじ2 |
黒胡椒 | 適量 |
米油 | 小さじ1と1/2(またはサラダ油) |
スナップえんどう | 4~5本 |
出汁がら昆布と梅干しを一緒に細かいみじん切りに。挽き肉をボウルに入れ塩をふり、粘りが出るまで練る。出汁がら昆布と梅干し、マヨネーズ、黒胡椒を入れてさらに練ったら、6等分にして丸める。
フライパンに米油をひき、①を並べ、中弱火にかける。焼き色がついたらひっくり返し、スナップえんどうを加えて焼く。両面が焼けたら水大さじ2(または昆布水)を加えて蓋をし、蒸し焼きにする。
北海道生まれ、北海道在住。料理研究家。札幌で北海道の食材を使ったイタリア料理教室「クチナイト」を主宰。つくりやすいレシピが評判で、北海道の食の伝え手として、地元のメディアやイベントで活躍。2016年日本昆布協会昆布大使に任命されたことを機に、えりも町、羅臼町、根室市など北海道中の産地を巡り、さらに富山、大阪、沖縄など、北海道から昆布が運ばれた「昆布ロード」の中継地点を訪ねる。各地の食文化と結びついた昆布食の聞き書きを続けている。1月にはパリで開催中の「ジャポニスム2018」で、昆布出汁のプレゼンテーションを行う予定。
文:神吉佳奈子 写真:長野陽一