築地にある「丸豊」のおにぎりはその大きさもさることながら、バリエーションの豊富さにも驚きます。何度通っても飽きないおいしさを楽しめます。
「丸豊」の朝は早い。日も昇らぬ午前3時過ぎ、最初のご飯が炊けるとヨーイドン。たぶん、日本一、三角巾が似合うおばちゃんたちがひたすらに握り続ける。その数は毎日優に千を超え、飛ぶように売れていく。
ここのおにぎり、まず驚くのは裸の大将もおそらく絶賛のデカさで、コレ全体に旨さが詰まっている。たとえば人気の“鮭わさび”。新潟県産コシヒカリはふっくらしつつ粘りすぎない絶妙な炊き加減ゆえに、時間が経ってもイケる。このご飯全体に粗ほぐしの鮭がまぶされる。肝は、刻んだ茎わさびの鼻にちょっとツーンと来る辛さで、鮭のしょっぱさとともにご飯の甘味を引き立てる。おにぎりはご馳走なのだ!ちなみに、ここのおにぎり、結構形もまちまちですが……。店主の数田弘さん曰く「ご飯の量は感覚、具はとにかくたっぷり入れてるよ!」。旨くて豪快、最高に気風の良いおにぎりである。
文:加藤ジャンプ 写真:牧田健太郎
※この記事の内容はdancyu2018年11月号に掲載したものです。