後楽園の「MENSHO TOKYO」は羊スープを扱う稀有なラーメン店です。お好きなみなさんならご存じのように、羊はクサいとか、カタいとか、そんなのは昔の話。今や幅広いジャンルで、香り高く軽やかで、素晴らしくおいしい羊料理が食べられます。そんな羊がおいしい店をご紹介します!
ガツンと羊!濃厚でとろりとしたスープは、羊の芳しい香りがムンムン。仔羊担々麺は、ラムのゲンコツと小骨でとったラム白湯(パイタン)をメインに、干し椎茸のだしと豆乳クリーム、芝麻醤(チーマージャン)をブレンドする。羊の風味が香味に変化した、その重層的な味わいに心底驚いてしまった。
豆豉と甜麺醤(テンメンジャン)で和えたラムチャーシューを中心に、にら、ザーサイなど8種類のトッピングが美しい。なかでも5種類の燻製ナッツが小気味いいアクセントになっている。食べる場所によって、食感や味わいは“八変化”。個性的なスープや具に負けないむちっとした太めの自家製麺は、しっかり小麦の風味を主張。ガーッと全部を混ぜれば、ボルテージは最高潮に達する。
何と合わせても何と混ぜてもベストマッチする羊って、もしかして最強のスープなんじゃないだろうか。しかも卓上調味料にはほうじ茶の粉末、シナモンとクミンが中心の特製スパイスカルダモンと生姜を漬けた酢などが揃えられ、これらを加えることでさらなる奥深い味わいへと誘ってくれる。
ほかにも、羊入門者向けの豚骨をブレンドしたラム率控えめのラーメンから、マトンも入った混ぜそばまで、淡から濃への羊グラデーションが楽しめる。もう、羊好きにはたまらん!
文:永浜敬子 写真:徳山喜行
※この記事の内容はdancyu2018年6月号に掲載したものです。