昆布はどこへ行く。
出汁がら昆布レボリューション!

出汁がら昆布レボリューション!

料理の腕がカンタンにあがる方法をそっと教えます。昆布の出汁をとったら、まずはそのまま、ひとくちすすってみてください。自然のミネラルがたっぷり含まれているので、ほんのり塩味を感じるはず。だから昆布の出汁を水代わりに使うと、いつもの料理がちょっとおいしくなります。さらに減塩にもなります。だからもっとカンタンに、もっと日常的に昆布の出汁をとりましょう。それから、出汁をとったら出汁がらをストックすることもお忘れなく!

家庭で一番カンタンな昆布出汁のとり方。

昆布出汁のとり方は、水に漬けるだけの水出しから始まり、60℃で1時間低温調理するプロの方法などいろいろある。ここでは、松田さんが、カンタンで一番おいしく出汁がとれる方法を伝授します!「鍋で湯を沸かし、2㎝角にカットした昆布を浸して、冷めるまで待つのが家庭ではベストです」。
湯の温度がゆっくりと下がる間に、しっかり出汁が出る。あくやぬめりがほぼ出ないから使いやすい上、カットしておくと出汁がらも使いやすい。でき上がった昆布の出汁は、鰹節や煮干しを足してもいいし、スープや煮物などをつくるときには、料理の味わいがアップする。

昆布は1.5~2㎝角にカットしておくといい。水1ℓに対して昆布は10gを目安に。
昆布は1.5~2㎝角にカットしておくといい。水1ℓに対して昆布は10gを目安に。
鍋に湯を沸かし、沸騰したら火を止めて昆布を入れる。
鍋に湯を沸かし、沸騰したら火を止めて昆布を入れる。
10分ほどおいたら、カンタン昆布出汁のでき上がり。
10分ほどおいたら、カンタン昆布出汁のでき上がり。

出汁がら昆布で「脱・フードロス」。

江戸時代に「脱・フードロス」を考えた人たちがいた。北前船で運ばれた貴重な昆布を食べ切る、いわゆる「始末料理」を考えた大阪の商人たちだ。出汁をとったあとの昆布を炊いた佃煮は、今でも大阪名物。
ただし、出汁がら料理は佃煮だけじゃない。「いつもの料理にちょっと足すだけ、手軽に使う方法があります」と松田さんは言う。お手軽なのは、と教えてくれたのは、2㎝角にカットした出汁がらを、ラーメンにポイッ、パスタを茹でるときにポイッ。そのまま具にもなるというから驚きだ。幅広の出汁がらは、煮物の落とし蓋代わりにして一緒に炊けば、おいしくなる&ふっくら炊けるので一石二鳥。
まだまだあります、出汁がら昆布料理。さあ、松田さんに教わって、2019年は「脱・フードロス」、はじめよう。

出汁がらは捨てないでストック。次回から、たっぷり活用術を紹介します。お楽しみに!
出汁がらは捨てないでストック。次回から、たっぷり活用術を紹介します。お楽しみに!

酸で柔らか、冷凍保存OKの出汁がら昆布。

昆布は種類や産地、漁の時期によって、薄いものや厚いものがある。厚みのある昆布だと、出汁がらは硬くて使いにくい場合も。そんなときは、酢や梅干を使ってみよう。昆布の繊維質を構成するアルギン酸は、アルカリ性に反応して溶解するので、酢や梅干などの酸を利用すると、硬い繊維質を柔らかくすることができる。
佃煮は長時間コトコト炊くと思っているあなた。 このあと紹介する松田さんの調理法で、毎日の料理が変わる!あなたの家にも出汁がら昆布レボリューション!

定番の佃煮も、梅干しを使えば、長時間炊かないでもふっくら柔らか。
定番の佃煮も、梅干しを使えば、長時間炊かないでもふっくら柔らか。

出汁をとって、すぐに出汁がらまで使いこなせない、という人も心配ご無用。出汁がらは冷凍保存できる。余った出汁はペットボトルへ、出汁がらは密閉袋に入れて3日後までに使うなら冷蔵庫へ。冷凍すれば20日ほど保存可能だ。ただし、それ以上になると出汁がらの水分が飛び、匂いがつくので要注意。
冷凍した出汁がらを使うときは、張り付いた氷をはがすように、ばらして解凍。焼いたり炒めて使う場合は、油がバチバチとはぜるので、しっかり搾って水分を充分に切ってから使うようにしよう。

冷凍すると昆布に含まれる水分が氷になって張り付くが、氷も出汁の結晶!余すことなく使いましょう。
冷凍すると昆布に含まれる水分が氷になって張り付くが、氷も出汁の結晶!余すことなく使いましょう。

――明日につづく。

教える人

松田真枝

松田 真枝

北海道生まれ、北海道在住。料理研究家。札幌で北海道の食材を使ったイタリア料理教室「クチナイト」を主宰。つくりやすいレシピが評判で、北海道の食の伝え手として、地元のメディアやイベントで活躍。2016年日本昆布協会昆布大使に任命されたことを機に、えりも町、羅臼町、根室市など北海道中の産地を巡り、さらに富山、大阪、沖縄など、北海道から昆布が運ばれた「昆布ロード」の中継地点を訪ねる。各地の食文化と結びついた昆布食の聞き書きを続けている。1月にはパリで開催中の「ジャポニスム2018」で、昆布出汁のプレゼンテーションを行う予定。

文:神吉佳奈子 写真:長野陽一 協力:荒井孝幸(北海道水産物検査協会)

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神吉 佳奈子(編集者)

1969年、酒どころ広島で生まれる。出版社を渡り歩き、家庭菜園雑誌や食雑誌、料理本の編集に携わる。2018年5月まで、100人の高校生と名人をつなぐ「聞き書き甲子園」の事務局に所属。食と農の手仕事を伝えるべく、フィールドワークを続けている。