
シェフがもし家で酒場を開いたら、どんなつまみを出すのだろう……。という妄想でスタートしたdancyuWEB連載「ようこそ!俺酒場」が、dancyu2026年冬号に登場。『フロリレージュ』川手寛康シェフに俺酒場メニューを5品考案していただきました。その中から「なすのラビオリ」をご紹介。正直言って、難易度は高めです。でも、この料理を家でつくれたときの感動ったらありません!

「ル ブルギニオン」や「カンテサンス」などで腕を磨き、2009年6月に「フロリレージュ」をオープン。2023年9月に麻布台ヒルズに移転。身近な野菜から華麗な一皿を生み出すコースはときめきの連続だ。
| ★ 【フィリング】 | |
|---|---|
| ・ なす | 5本 |
| ・ エシャロット | 1/2個(縦に薄切り。玉ねぎでも可) |
| ・ にんにく | 1片 (潰す) |
| ・ トマト | 1/4個(皮と種を除き1cm角に切る) |
| ・ タイム | 2~3本 |
| ・ カレー粉 | 1g |
| ・ オリーブオイル | 適量 |
| ★ 【生地】 | |
| ・ 中力粉 | 100g |
| ・ 塩 | 1g |
| ・ きのこ水 | 47g(水でも可(*1)) |
| ★ 【ソース】 | |
| ・ とろなすの焼きなす | 120g(*2) |
| ・ だし | 250g |
| ・ 八丁味噌 | 20g |
| ・ 葛粉 | 少々(片栗粉でも可) |
| ・ カレーオイル | 適量(*3) |
*1 きのこ水は、舞茸100gを水50gと塩少々で煮込んでから漉す。
*2 とろなすは白なすや青なすのことで、加熱するととろける食感になる。今回はグリルなどでじっくり焼いて皮をむいて使用。
**3 カレーオイルは、胡麻油(白)とカレー粉を2:1で混ぜて一晩置いてから漉す。
フードプロセッサーに中力粉と塩を入れ、撹拌しながら人肌に温めたきのこ水を加える。途中で底を混ぜ起こしながら撹拌し、全体に水分を行き渡らせる。粉が細かい粒状になったらまとめ、密閉できる袋に入れて冷蔵庫で一晩休ませる。


なすはヘタを落とし、縞目に3ヶ所皮をむく。縦半分に切り、全体に軽く塩(分量外)をふる。水気が出てきたらキッチンペーパーで押さえて拭き取る。

フライパンにオリーブオイル大さじ4を熱し、断面からなすを並べる。中火でこんがり焼き色がついたら裏返し、柔らかくなるまで加熱したらキッチンペーパーに取り出す。

大きめの鍋にオリーブオイル大さじ1とにんにくを入れて弱火にかけ、じっくり加熱する。香りが立ったらエシャロットを加え、カラッとドライになるまで炒める。

トマト、タイム、カレー粉を加えて炒め混ぜたら、(3)のなすを入れて混ぜ、蓋をして弱火で15分加熱する。

火からおろしてタイムを取り出し、ハンドブレンダーなどでペースト状にして冷ます。

焼きなすソースをつくる。鍋に焼きなすとだしを入れ、八丁味噌を溶く。弱火にかけて10分ほどコトコトと煮る。

火からおろして、クッキングペーパーを敷いた漉し器でソースを抽出する。小鍋に移し、水で溶いた葛粉で軽くとろみをつける。

休ませた生地を取り出し、麺棒で薄くのばす。透けるぐらいに薄くするのが理想。円形の型抜き(直径5 cm)で生地を抜く。残った生地は再度薄くのばして型で抜く。

冷ました56gを生地の中央にのせ、もう一枚の生地をかぶせる。生地の周りを指で押さえてしっかりとめたら、1ヶ所を折り畳んでから両側の生地を寄せて成形する。


沸騰した湯に1%の塩(分量外)を加えてラビオリを1分30秒ゆでる。

皿に盛りつけ、焼きなすソースとカレーオイルをかけて完成。中身もソースもなす尽くし!ラビオリ生地はもちもちなめらかで、きのこ水の風味が噛むほどに現れる。和風の味には日本酒“日日”を。


文:上島寿子 撮影:伊藤菜々子