尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
余った"刺身"でつくる"小松菜和え"は、三度おいしい!

余った"刺身"でつくる"小松菜和え"は、三度おいしい!

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、残ってしまった“刺身”。みなさんはいつもどうしてますか?

“刺身”でつくる、尾身家の母の味

人が大勢集まるときのご馳走に、手巻き寿司に。どーんと買ってきた“刺身の盛り合わせ”は、ちょっとだけ余ってしまいがち。ヅケにするのが王道だが、いろんな種類の魚が入っているのも悩みどころ。そんなわけで、尾身さんおすすめの食べきり術を聞いてみることに!

「ちょっと残ったら、子どものころに母がよくつくっていた“小松菜の和え物”にするんです。これが、とってもおいしくて。うちの父は生魚が大好きだったので、食卓の定番だったんですよ。母はいつもマグロでつくっていましたが、いろんなお刺身が混ざってもいいんです」

刺身と小松菜とは、なんとも意外な組み合わせ!なぜ他の野菜ではなく、小松菜なのだろう?

尾身さん
いろんな種類がちょっとずつ余ってしまうこと、ありますよね?

「小松菜って、ちょっとだしのような旨味があるんですよ。だから、魚と合わせたときに相性がいいの。ほうれん草じゃダメなんです!」

それを聞いて思い出したのが、九州でよく食べられている“かつお菜”だ。だしのようなしっかりした旨味があることで知られるアブラナ科の野菜だが、小松菜も同じ旨味を含むアブラナ科。魚と相性がいいという話にも、納得なのである。

お茶漬けにしてもおいしい!

さっそく、ゆでた小松菜をざくざく刻んで、余った刺身をコロコロに切っていく尾身さん。これをワサビ醤油で和えたら、半ずりにした胡麻を混ぜて出来上がり。色とりどりの刺身と小松菜の青みが美しい一品が、あっという間に完成した。味わってみると、小松菜と刺身の旨味がピタッと合って、さっぱりとおいしい!胡麻の香ばしさがアクセントになって、白いご飯にも合う。

「うちの実家は工務店を営んでいて、職人さんも一緒に大勢で食卓を囲んでいたので、お刺身をカサ増しする意味もあったんでしょうね。野菜が食べられて、ご飯も進んで、家族みんなが大好きな味でした」

さらに、「ご飯にのせて、タイ茶漬けみたいにしてもおいしいのよ」と、尾身さん。すすめられるがままに、熱い緑茶をまわしかける。ああ、すり胡麻が香ばしくて、サラサラと食べてしまう……!そのままで、ご飯にのせて、お茶をかけて。三度おいしい“小松菜和え”、これはもう刺身を余らせるしかない!

“刺身の小松菜和え”のつくり方

完成

材料材料 (3~4人分)

残った刺身80g(マグロ、タイ、ハマチ、サーモンなど)
小松菜1束(100g)
白炒り胡麻大さじ1(すり鉢で半ずりにする。すり胡麻でも代用可)
醤油小さじ1~大さじ1/2
練りワサビ少々
★ 温かいご飯と緑茶適量(好みで)

1小松菜をきざむ

小松菜はゆでて水に取り、水気をしっかりしぼってから細かくきざむ。

小松菜をきざむ

2刺身を切る

刺身は1cm角程度に、大きさをそろえて切る。

刺身を切る

3刺身と小松菜を和える

ボウル小松菜と刺身を入れ、ワサビを溶いた醤油をまわし入れて和える。炒り胡麻を加えて、さらに和えたら出来上がり。

刺身と小松菜を和える

4お茶漬けにしても!

温かいご飯の上にたっぷりのせ、緑茶をかけてお茶漬けにして味わうのもおすすめ。

お茶漬けにしても!

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。