料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回は、お正月に余った“おせち”が、なんと意外なエスニック料理に大変身!
前回は“お煮しめ”と“栗きんとん”の“春巻き”を紹介したが、今回は“紅白なます”のアフターレシピ。華やかな彩り、甘酢で漬けたさっぱりとした味わいはお正月に欠かせないが、脇役的な存在感のせいか、意外と残ってしまうことが多い。でも尾身さん、また春巻きってわけにはいきませんよね?
「いえいえ、“紅白なます”が残ったときも、“春巻き”がおすすめなんです。といっても、今回は具材にはしません。ベトナム風の“揚げ春巻き”をつくって、なますと一緒にレタスで巻いて食べるんです。これがホントにおいしいんですよ!」と尾身さん。
確かに、ベトナムでは“紅白なます”は日常的によく食べられている。“揚げ春巻き”だけでなく、日本でもすっかりおなじみになったバゲットのサンドイッチ“バインミー”にも欠かせない具材だ。さっそくつくり方を教わってみよう。
「“ベトナム風揚げ春巻き”と聞くと難しそうな感じがするかもしれませんが、ひき肉にきくらげや春雨などを加えて練ったら、あとは皮で包んで揚げるだけ。意外と簡単でしょ?」と尾身さん。現地流の揚げ春巻きにならって、皮は4等分に切って使い、小さめの春巻きにするのもポイント。生の肉ダネを包んで揚げるので、小さいほうが火も通りやすいのだという。
ちなみに、ベトナム現地ではライスペーパーを使うが、水で戻して肉ダネを包むのは少しテクニックが必要だ。また、ライスペーパーは揚げているときにくっつきやすいのも難点。そこで、使い切りやすさも考慮して、普通の春巻きの皮を使うことにした。
こんがり揚がった親指ほどの大きさのチビ春巻きをレタスに取り、パクチーとなますをたっぷりのせて巻く。スイートチリソースをつけたら、ひと思いにパクッ!カリッと揚がった春巻きに、甘酸っぱいなますの組み合わせがたまらない。おせちがベトナム料理に大変身するという意外性もまた、楽しいのだ!
★ 肉ダネ | |
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・ 豚ひき肉 | 60g |
・ きくらげ | 1~2g(乾燥。水で戻してみじん切り) |
・ 玉ねぎ | 大さじ3(みじん切り) |
・ 春雨 | 5g(乾燥。水で戻して粗くきざむ) |
・ おろし生姜 | 小さじ1 |
・ パクチーの茎 | 大さじ1(細かくきざむ) |
・ 塩 | 3つまみ |
・ 黒胡椒 | 少々 |
春巻きの皮 | 2枚 |
のり | 適量(薄力粉を同量の水で溶く) |
揚げ油 | 適量 |
残った紅白なます | 適量 |
サニーレタス | 適量 |
パクチーの葉 | 適量 |
スイートチリソース | 適量(市販) |
肉ダネの材料をすべてボウルに入れ、手でしっかり練り合わせる。
春巻きの皮をキッチンバサミで4等分に切る。
皮に肉ダネをのせて巻き、巻き終わりにのりを塗って留める。火が通りやすいように、少し平たくする。
160℃に熱した揚げ油で、こんがり色づくまで揚げる。器に盛り、サニーレタス、パクチーの葉、紅白なます、スイートチリソースを添える。レタスで包んで、チリソースをつけて味わう。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:海老原俊之