自他ともに認めるラーメンマニアかつ、レコード番長の異名を持つ人気DJ須永辰緒さんが、ラーメンレシピとともに、そこに込めたテーマや思いをもとに組んだ音楽のプレイリストをご紹介する連載「須永辰緒のMUSIC&RAMEN」。第三回は旨味溢れる昆布水つけ麺と、晩秋にぴったりの選曲をご紹介します。
2000年問題以前には「つけ麺の立ち位置“問題”」というのがラーメン界では常に話題に上がっていました。
せっかくの熱々の汁に冷たい麺を潜らせるというスタイルは、ラーメン以外の料理ジャンルでは決してメジャーではありません。温度でいえば熱いものは熱いうちに食べたいし、冷たい料理には夏に大活躍をするエキサイティングさを求めます。
転じて従来のつけ麺といえば、結果生温い汁を啜りながら箸を置き静かに終了という、まるで「葱買うて枯木の中を帰りけり」(与謝蕪村)のような侘しさも隠せません。
かくいう僕もメニューを選ぶ際はつけ麺は一切無視していました。
が!十数年前にとある偉大なラーメン職人が発明(諸説あり)したという「昆布水に浸した」つけ麺がブレイクしたのです。
『スープを飲ませるもの』だったラーメンは、蕎麦やうどんのように麺の喉越しや小麦の風味を楽しむものという発想の転換だと思います。先ずは麺のくっつきを防止する役目をも担う昆布水を纏った麺に軽く塩を振って麺を楽しむ。そもそも昆布の旨味を纏っているわけだからそのままでも充分美味しい。お店によっては柑橘類のオプションもあるので途端にお洒落な味にも変貌。前半は塩で食べ、後半にはつけ汁を巻き込む。お店によっては熱々の石を投入してくれる神様のような店もあるので温度差問題も一気に解決!
但し麺を楽しむ前提なので自家製手打ち麺だったり、優秀な製麺所の特注麺というのが前提だからご家庭では完全再現は難しいかも知れませんが、今回は私流の昆布水の作り方をお伝えします。
因みにものすごーく簡単だし、例によって色々な料理にも使い回しが可能なのでストックして下さい。
熱々でない分、どちらかといえば暑い時期に食べるイメージがありましたが、すっかりメジャーとなったつけ麺は、今や夏のものだけではありません。
晩秋でも美味しく味わえる、そんな選曲を準備しました。
2023年ならではのジャジーR&Bからあの大物バンドの新作、物憂げな秋ならではのブルージーなコード展開の曲を中心に、昆布だけに粘り強くスイングするジャズまで展開しています(上手いことを言ったとは思っていません)。自作派で要領が良い方ならプレイリストが終わる頃には、家族の元へ件のつけ麺も着丼するはずです。
※プレイリストの再生にはSpotifyのアカウントが必要です。
中華麺 | 2玉(つけ麺用) |
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★ 昆布水 | (つくりやすい分量) |
・ 利尻昆布 | 1g |
・ がごめ昆布 | 5g |
・ 水 | 500cc |
★ スープ | |
・ だし | 400cc |
・ 醤油だれ | 40cc |
・ 香味油 | 適量 |
★ トッピング | |
・ 白玉 | 4個 |
・ 味玉 | 2個 |
・ 鶏チャーシュー | 2枚 |
・ 長ねぎ | 適量(白い部分) |
・ 九条ねぎ | 適量 |
・ すだち | 適量 |
・ 塩 | 適量 |
昆布水の材料を容器に入れて、冷蔵庫で一晩おく。
醤油らぁ麺のレシピと同じようにだし、醤油だれ、香味油、トッピングの具をつくる
麺を表示通りにゆでて、冷水で締めておく。
長ねぎをあられ切りにする。スープの材料を器に注ぎ合わせ、長ねぎをのせる。
器に麺をいれ、よく冷えている昆布水を浸る程度入れる。
具材をトッピングして完成。前半は塩で食べ、後半には汁につけて食べるなどお好みで召し上がれ。
文:須永辰緒 写真:竹之内祐幸