タイのカレーペーストの代わりに柚子胡椒を使った、日本酒にも合うつまみ料理です。ゆったり気分の週末に仕込める、手軽な肉つまみを料理研究家のサルボ恭子さんに教わりました。
ワインに合う、洗練された料理が人気のサルボ恭子さん。家飲みはどんなふうに楽しんでいるのだろう。
「夫がフランス人なので、食事の前のアペリティフは欠かせません。毎晩、大人のアペリティフの後、子供と一緒の晩ごはんが始まります」
つまみとしての肉料理の考え方は、まずは量。メインディッシュになるような料理でも、量を控えればお酒と合うつまみに。また、少量のつまみをお酒の合いの手に楽しむと考えれば、塩や辛味を少々きつめにしたり、ハーブやスパイスの香りでインパクト強めにしたり、と遊び心も加えられる。
そんなサルボさんが今回提案してくれたつまみは、ゆったり気分の週末に仕込めるつくり置き可能なもの、実は簡単だけど手をかけたように見えるもの、など珠玉の品。
つくってみると、塩の加減や考え抜かれた手順が絶妙で、新しい味わいや手法に目覚めることしきり。発見の美味揃いです!
柚子胡椒+ココナッツミルクで、なじみのある香り高い辛味に仕上がる。お供はビールでも日本酒でも。日曜日に仕込んでおけば、月曜日には袋から出して切るだけだ。
鶏むね肉 | 2枚(540g)(皮なし) |
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ココナッツミルク | 50g |
柚子胡椒 | 小さじ2 |
ナンプラー | 小さじ1と1/2 |
砂糖 | 小さじ1 |
セロリ | 適量 |
※湯煎用に保存袋(厚手で加熱に耐えるもの)を2枚用意する。
鶏肉をボウルに入れ、まず砂糖を全体にまぶしてから、セロリ以外の他の材料をすべて入れてよくまぶす。一枚ずつ保存袋に入れて、 1時間室温に置く。
大きめの鍋にたっぷり湯を沸かし、中心までしっかり沸騰したら、火を止めて①を静かに入れ、蓋をして2時間置く。
②を取り出し、袋の周りの水分をキッチンペーパーで拭いて冷蔵庫に入れ、3時間から一晩置く。
食べやすい厚さに切り、セロリの薄切りとともに皿に盛る。
老舗旅館の長女として生まれ、料理家の叔母に師事したのち渡仏。パリのホテルで勤務中にフランスの郷土料理に魅了される。現在は料理教室を主宰するほか書籍や雑誌で活躍。シンプルな素材を洗練された家庭料理に昇華させるレシピに定評あり。近著に『フランス共働き家庭の2品献立(』立東舎)。
この記事はdancyu2020年7月号に掲載したものです。
写真:サルボ恭子 文:編集部