小堀紀代美さんの冬のスパイス料理
牛肉の旨味が詰まった"グヤーシュスープ"
ラムソテー&ラムボール ラムソテー&ラムボール

牛肉の旨味が詰まった"グヤーシュスープ"

ハンガリーの代表的料理であるグヤーシュスープ。具がごろごろ入っているタイプもあれば小さく切って煮込んだものもあり、各家庭や店によってさまざまです。いずれもパプリカパウダーをたっぷり使うので、見た目は真っ赤ですが、辛くないのが特徴です。煮込みながら牛肉のスープを取るので、くさみを閉じ込めないように、蓋をしないで煮るのがポイント。冬のおかずをおいしくするスパイスとハーブ使いをスパイスの達人・小堀紀代美さんに教えてもらいました。

“グヤーシュスープ”のつくり方

大きなスープ皿にたっぷりよそっていただきます。これはハンガリーで購入したグラーシュ用のスープ皿。一晩おくとスープの味が肉に戻ってよりおいしくなるので、多めにつくるのがおすすめ。

使ったスパイス&ハーブは

パプリカパウダーはマイルドで甘酢っぱいような独特の香りとかすかな甘味、若干の苦味が特徴。ほかにキャラウェイシード、クミンシード、ローリエ、にんにく、赤唐辛子。

材料材料 (4人分)

牛すね肉600~800g(または肩ロース肉。塊)
★ 牛肉の下味
・ 塩小さじ1と1/2~2(肉の重さの1.5%)
・ オリーブオイル大さじ1
・ ローリエ3枚
玉ねぎ大1個
セロリ1本(あれば葉つき)
トマト大1個
大根300g
にんじん1本
じゃがいも2~3個
オリーブオイル適量
にんにく1片分(みじん切り)
赤唐辛子1/2本(種を取る)
キャラウェイシード小さじ2
クミンシード小さじ1
適量
パプリカパウダー大さじ1と1/2
黒胡椒適量
パセリ適量(みじん切り)

1牛肉の下ごしらえ

牛肉は3cm角に切り、下味の材料をもみ込んで30分ほどおく。

牛肉の下ごしらえ
牛肉は塩をもみ込んでオリーブオイルをからめ、ローリエを加え、下味をつける。これで肉の旨味が際立つ。30分以上おく場合は冷蔵庫へ。

2野菜をカットする

玉ねぎ、セロリはみじん切りにし、トマトは皮を湯むきしてざく切りにする。大根は皮をむいて1cm厚さのいちょう切りにし、水からゆでてザルにあげる。にんじんは皮をむいて1cm厚さのいちょう切りにし、じゃがいもは皮をむいて大きめの一口大に切る。

3野菜を炒める

鍋にオリーブオイル大さじ2、にんにく、赤唐辛子、キャラウェイシード、クミンシードを入れて弱火で熱し、香りが出たら弱めの中火にし、玉ねぎとセロリを加えて塩ひとつまみを加え、しんなりするまで炒める(色づかないように、じんわり汗をかかせるように)。

4パプリカパウダーを加える

強めの中火にし、トマトを加えて煮くずれるまで炒めて水分をとばす。パプリカパウダーを加えて焦げないように炒める。

パプリカパウダーを加える
スパイスと香味野菜をじっくりと炒めたら、パプリカパウダーを加える。この段階で加えて味をなじませる。
パプリカパウダーを加える
野菜の水分をとばしながら炒めて、粉っぽさがなくなってしっとりするまでよく炒める。

5水を加える

水2L(分量外)を加え、沸騰したらアクを取り除く。

6牛肉に焼き色をつける

その間にフライパンにオリーブオイル適量を入れて強火で熱し、1の牛肉とローリエを入れて全体に焼き色をつける。

牛肉に焼き色をつける
下味をつけておいた牛肉は全体に焼き色をつけ、それから煮込む。焼いた香ばしさも旨味になる。

7煮込む

6を5の鍋に加える。弱めの中火にし、蓋をしないでアクを取りながら2時間ほど煮込む。途中、水分が減ったら牛肉がかぶる程度に水を補う。

8仕上げ

にんじん、大根を加え、沸騰したらアクを取り、蓋をして弱火で30~40分煮る。じゃがいもを加えてさらに20分ほど煮込み、塩で味をととのえる。粗熱が取れるまで鍋のまま冷まし、食べる直前に温め直して器に盛り、胡椒とパセリをふる。

仕上げ
具となる野菜は牛肉を煮て2時間後に投入。まずはにんじんと大根、少しおいてじゃがいもを入れる。
完成

教える人

小堀紀代美 料理家

小堀紀代美 料理家

レストランのマダムからカフェ「LIKE LIKE KITCHEN」の料理担当を経て、現在は料理教室「LIKE LIKE KITCHEN」主宰。おいしいもの好きが高じて世界各国を食べ歩き、そんな経験から、スパイスやハーブ使いの達人となる。

※この記事の内容は、四季dancyu「冬のレシピ」に掲載したものです。

四季dancyu 冬のレシピ
四季dancyu 冬のレシピ
A4変型判(120頁)
ISBN:9784833480833
2021年12月15日発売/1,100円(税込)

文:松原京子 撮影:邑口京一郎

松原 京子

松原 京子 (フードエディター&ライター)

食をメインとした雑誌や料理の書籍などで企画・編集・執筆を手がける。この業界に入って早うん十年、やれ試食だ試作だ、新しい店ができたんだって、この店の味は残さなきゃ、と外食を続けているうちに体重が増え続け、20代の頃の倍の重さに!(本当に倍の数字です)。一口じゃおいしさなんてわからない、全部食べてこそ真意がわかると思っている。家では真っ当な調味料と安全な食材でつくるシンプルな料理を心がける。