おでんは一からつくるとなるとかなり大変な料理です。ですが、その苦労をかけるだけの価値がある美味しさに仕上がります!器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
おでんは地味だけど、実は手が込んでいる料理です。土鍋のままサーブするのもいいけれど、陶器の大皿にどんと盛りつけると、ぐんと華やかな雰囲気に。丁寧に下ごしらえした具材のひとつひとつの見ばえがするし、取り分けやすいのもいいところ。選んだのは、沖縄の読谷山窯のやちむんです。ぽってりとした厚みと大らかな絵付けによる力強さが、おでんの楽しさを盛り上げてくれるはず。市販の練りものではなく、ぜひ自家製の鶏つくねやつみれを入れてみてください。晩酌もどんどん進む美味しさですよ。
★ だし | |
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昆布 | 15cm角1枚 |
かつお節 | 30g(厚削り) |
水 | 1.5L |
★ 調味料 | |
日本酒 | 200ml |
淡口醤油 | 大さじ1 |
塩 | 大さじ1~2 |
★ 具材 | |
じゃがいも | 大2個(ゆでて皮をむく、メークイーンなど煮くずれないもの) |
厚揚げ | 1枚(熱湯でさっとゆでる) |
ゆで卵 | 4個 |
大根 | 1本 |
こんにゃく | 1枚 |
★ 牛すじ | |
牛すじ | 300g |
ねぎ | 1本(青いところも含め、5~6cm幅に切る) |
にんにく | 1片(皮つきのまま軽くつぶす) |
生姜 | 1片(皮つきのままスライスする) |
白胡椒 | 20粒 |
酒 | 2カップ |
水 | 1.5L |
ローリエ | 1枚 |
★ 鶏と黒胡椒のつくね | |
鶏もも肉 | 300g(細かく包丁でたたく) |
鶏やげん軟骨 | 100g(みじん切り) |
酒 | 小さじ4 |
溶き卵 | 1個分 |
片栗粉 | 小さじ4 |
醤油 | 小さじ1 |
黒胡椒 | 小さじ1(粗く砕く) |
塩 | 小さじ1/2 |
生姜の絞り汁 | 小さじ1/2 |
★ いわしとごぼうの揚げつみれ | |
新鮮ないわし | 中3尾(正味160g) |
ごぼう | 1/2本(約50g) |
塩 | ひとつまみ |
酒 | 小さじ1 |
溶き卵 | 1/2個分 |
片栗粉 | 小さじ2 |
生姜の絞り汁 | 小さじ1 |
味噌 | 小さじ1/3 |
鍋に昆布と水を入れ3時間以上おく。弱火にかけ沸騰直前に昆布を引き上げ、かつお節を入れる。10分煮出してこす。昆布はとっておき、食べやすい大きさに切って結んで具材にする。
牛すじをたっぷりの湯で3分ゆで、ザルにあげる。別途湯を沸かし、牛すじにかけてアクや脂を洗い流す。厚手の鍋に牛すじと他の材料をすべて入れて強火にかけ、沸騰したらごく弱火でアクを取りながら1時間煮る。火を止めたらそのままおき、冷めたら肉とスープに分ける。ス ープの上に固まった脂を取り除き、大きい肉は食べやすい大きさに切り分ける。
幅5cmに切り、皮をむいて面取りし隠し包丁を入れる。米ひとつかみとかぶるくらいの水と一緒にごく弱火で1時間ゆでる。ゆで汁もとっておく。
フォークで両面を刺してから食べやすい大きさに切り、塩少々でもんで5分おく。水からゆでて沸騰したらザルにあげ、水気をきる。
鶏肉と軟骨と塩をボウルに入れ、しっかりと練る。酒以外の残りの材料を加えてさらによく混ぜる。酒は少しずつ加え、粘度を見ながら量を調整する。冷蔵庫で30分以上ねかせる。
沸かした湯に、肉だねをスプーン2本で丸く成形して入れ、弱火で5分ほどゆでる。
いわしは開いて骨と皮を外し、塩(分量外)を両面に軽くふり、冷蔵庫で30分ほどおく。キッチンペーパーで水気を拭き取り、粗めに包丁でたたく。ごぼうはよく洗ってからささがきにして、薄い酢水に5分ほど放つ。ザルにあげて水気をよくきる。
ごぼうといわし、塩をボウルに入れてしっかりと練ってから、残りの材料を加えてよく混ぜる。30分以上冷蔵庫でねかせる。
5~6等分にして丸く形を整え、中温の揚げ油で3~4分、上下を返しながら揚げる。油をよくきる。
深めの鍋に大根、牛すじとスープ、こんにゃく、じゃがいも、だし、調味料を入れ、さらに大根のゆで汁を具がかぶるまで入れる。クッキングペーパーで落とし蓋をし、ごく弱火で1時間半煮る。
厚揚げ、ゆで卵、だしをとったあとの昆布、つくね、つみれを加え、5分煮たら味をみて、必要なら塩でととのえ、火を止める。蓋をして常温になるまで冷ます。できれば一晩冷蔵庫でおくと味がしみる。食べる直前に中火にかけて温める。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
※この記事の内容は、四季dancyu「冬のレシピ」に掲載したものです。
文:藤井志織 写真:伊藤徹也