甘鯛のだし、皮、ウロコを堪能できる贅沢な鯛めしです。上品な甘味をぜひ楽しんでみてください。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
カリカリに香ばしく焼き上げることで、ウロコまでおいしくいただける甘鯛。魚屋さんで『半身のウロコをひいて、あとは3枚おろしにしてください』と頼むとラクです(アラももらうのを忘れずに!)。
少し格を感じさせる料理でもある松笠焼きをのせた豪華な鯛めしを静かに受け止めてくれるのは、骨董のような趣がある安齋新・厚子さん夫妻の青磁の器。二人で一つの器をつくりあげているからか、静けさとのびやかさ、凛とした緊張感とぽってりとしたやわらかさという相反する要素が共存しているところが魅力です。
甘鯛* | 1尾(3枚におろす。アラも取っておく) |
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米 | 2合 |
昆布 | 5cm角1枚 |
A | |
├ 酒 | 大さじ4 |
├ 淡口醤油 | 大さじ2 |
└ 塩 | ひとつまみ |
生姜 | 1片(せん切り) |
サラダ油 | 適量 |
*半身はウロコを取り、残りの半身は取らずにおく。
※甘鯛のだしは品のいい甘味があるので残りは煮物などに使うとよい。傷みやすいので、すぐ使わない場合は冷凍する。
昆布を水1.5L(分量外)に浸し、3時間以上おく。
甘鯛のアラはザルに入れてたっぷりの熱湯をかけ、水気を拭き取る。鍋に入れ、1を加えて強火にかけ、沸騰したら弱火にして30分ほど煮る。火を止め、ザルなどでこして冷ます。
米をといで水気をよくきり、土鍋(または炊飯器)に入れる。2の煮汁330mlとAを加え、1時間ほど浸水させる。
キッチンペーパーをバットの上に敷き、水をひたひたに含ませる。その上にウロコつきの甘鯛の半身を4等分にしたものを皮目を下にしてのせ、塩(分量外)を全体にふる。
甘鯛の残りの半身は、皮目に切り目を3~4本入れて別のバットにのせる。全体に塩(分量外)をふり、15分ほどおく。
3に5を、皮目を上にしてのせて、炊飯する。
米を炊いている間に、松笠焼きをつくる。フライパンを中火にかけ、5mmくらいの深さに油を注ぐ。煙が出たら4を皮目を下にして入れ、2~3分焼く。網の上に取り出し、油をよくきる。
6の米が炊けたら生姜を加え、甘鯛の身をほぐしながらよく混ぜる。器に盛り、7をのせる。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
※この記事の内容は、四季dancyu「冬のレシピ」に掲載したものです。
文:藤井志織 写真:伊藤徹也