「だし」と言ってもここでは蟹の缶汁そのもので下味をつけるレシピ。蟹の旨味がたっぷり染み渡るだし巻き卵です。「もしも、缶詰料理で日本酒が飲める割烹があったなら」――そんな缶詰を使った妄想料理を、酒肴家の稲垣知子さんに習いました。
ぷるぷる、ふわふわのだし巻き卵です。だし巻きと申しましたが、前の煮物同様、こちらもおだしはひいておりません。蟹の缶汁を水で割って、溶き卵と合わせました。真ん中には蟹の身をぎっしり。贅沢でしょう?
カニ缶 | 1/2缶(約60g) |
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卵 | 3個 |
油 | 適量 |
カニの身は軽く押さえて汁気を絞り、缶汁大さじ2をとっておく。
1の缶汁と水を合わせて大さじ3のだしをつくる。ボウルに卵を割りほぐし、だしを加えて混ぜる。
卵焼き器を中火で熱し、油を薄くひく。2を1/3量ほど流し入れて全体に広げ、半熟になったところでカニの身を横一文字にのせ、カニが芯になるようにして卵を巻く。残りの卵液も2回に分けて流し入れ、同様に巻く。
巻き終わったら熱いうちにラップにくるみ、形を整える。
粗熱が取れたら食べやすい幅に切り分ける。
日本酒と器を愛してやまない酒肴家、料理研究家。漢方薬膳の効能を生かした体に優しい料理も得意としている。著書に『おかずおつまみ』(文化出版局)、『日本酒マリアージュ』(誠文堂新光社)。
※この記事の内容は、「技あり!dancyu缶詰」に掲載したものです。
文と構成:佐々木香織 撮影:宮濱祐美子 スタイリング:大畑純子