香り高いモロッコの家庭料理
塩レモンの風味がアクセントの"鶏肉とレモンのタジン"

塩レモンの風味がアクセントの"鶏肉とレモンのタジン"

日本でもポピュラーになったタジン鍋を使った蒸し料理です。ふっくら蒸し上がった鶏肉を、食材の旨味が凝縮したソースに絡ませて食べるとたまらない美味しさです。スパイス、レモン、ハーブなど異国情緒あふれる香りの多重奏が魅力のモロッコ料理を、料理研究家の口尾麻美さんに教えてもらいました。

“鶏肉とレモンのタジン”のつくり方

やわらかい鶏肉にレモンの熟れた味わいがからみ、その旨味を吸い込んだじゃがいもがまたご馳走。途中、加減をみて煮汁を多すぎず少なすぎず、ソース状のちょうどよい加減に調整するのがポイント。

材料材料 (3~4人分)

鶏もも肉2本(骨つき)
適量
オリーブオイル適量
レモン汁適量
シトロンコンフィ(塩レモン)の皮*1/2個分(細く刻む)
玉ねぎ1/2個分(薄切り)
じゃがいも3個(メークイン)
黒オリーブ大さじ2
A
・ ジンジャーパウダー小さじ2
・ ターメリック少々
・ 塩小さじ2
・ にんにく小さじ1(すりおろし)
B
・ コリアンダー大さじ1(みじん切り)
・ イタリアンパセリ大さじ1(みじん切り)
・ オリーブオイル大さじ2

*シトロンコンフィは皮のみを使用するが、残った果肉は細かく刻んで塩の代わりに使ってもよい。その場合、分量の塩は加減する。

1シトロンコンフィ(塩レモン)をつくる

レモン(分量外)は洗って水気を拭き取り、縦に4本、十字に深く切り込みを入れる。切り込みに塩をたっぷりと挟み、煮沸消毒した瓶にぎゅうぎゅうに詰める。隙間があくようならレモンを追加する。レモン汁を入れて蓋をし、常温でおく。数日たって水分が上がってきたときに、レモンの上部がまだ空気に触れているようなら、塩水かレモン汁を適宜足して全体がかぶるようにする。1カ月後くらいから料理に使える。

2下ごしらえ

鶏肉は水洗いして水気を拭き取ってからボウルに入れ、塩、レモン汁、オリーブオイルをからめる。じゃがいもは皮をむき、くし形に切る。

3タジン鍋に食材を入れる

タジンの中央に玉ねぎを少し敷き、その上に1の鶏肉をのせる。残りの玉ねぎで鶏肉を覆う。

4蒸し焼きにする

Aを少量の水(分量外)で溶いて3の上に回しかけ、Bをかけて蓋をする。弱火にかけ、しっかり温まってから30分ほど蒸し焼きにする。途中、何度か煮汁を全体に回しかける。

5仕上げ

鶏肉がある程度やわらかくなったら、じゃがいも、黒オリーブを鶏肉の周囲に並べ、シトロンコンフィの皮を散らす。蓋をしてさらに蒸し焼きにし、全体に火が通ったら完成。鍋のまま食卓へ。

完成

教える人

口尾麻美 料理研究家

口尾麻美 料理研究家

アパレルの仕事を経て料理の道へ。世界各国へ旅をし、インスピレーションを受けた料理をイベントや料理教室で紹介。モロッコのほか、トルコやリトアニア、台湾などをテーマにした著書がある。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

※この記事の内容は、四季dancyu「冬のキッチン」に掲載したものです。

四季dancyu「冬のキッチン」
四季dancyu「冬のキッチン」
A4変型判(120頁)
2020年12月10日発売/1,000円(税抜き)
鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。