香り高いモロッコの家庭料理
野菜がたっぷり入った"クスクス ビダヴィ"

野菜がたっぷり入った"クスクス ビダヴィ"

クスクス ビダヴィは、7種の野菜が入る伝統的で人気のあるクスクス料理です。付け合わせのツファヤ(玉ねぎとレーズンのコンフィ)と辛味調味料のアリッサは、肉料理やパンに添えてもおいしいです。スパイス、レモン、ハーブなど異国情緒あふれる香りの多重奏が魅力のモロッコ料理を、料理研究家の口尾麻美さんに教えてもらいました。

“クスクス ビダヴィ”のつくり方

食べるときは銘々の皿にクスクスと具を取り分け、スープを適量かけて。好みでアリッサを少量ずつ混ぜると、ピリリとしたアクセントになる。本国では取り皿やカトラリーは使わず、家族で大皿を囲んでそれぞれに直接、手をのばしながら食べるのだとか。

材料材料 (3~4人分)

●クスクス ビダヴィ
クスクス2カップ(スムール)
★ 蒸すための材料
・ 塩適量
・ 胡椒適量
・ オリーブオイル大さじ2
・ 熱湯2/3カップ
鶏の骨つき肉*1400~500g(手羽中や丸鶏など)
レモン汁適量
適量
オリーブオイル適量
玉ねぎ1/2個分(みじん切り)
にんじん小1本
大根4cm
ズッキーニ1本
さつまいも*2小1本
キャベツ小1/4個
ひよこ豆50g(水煮缶など)
トマト1個分(皮を入れずにすりおろす)
1L
オリーブオイル大さじ1
A
・ ジンジャーパウダー大さじ1
・ ブラックペッパー小さじ1
・ ターメリック少々(省いても可)
・ 塩小さじ2
・ にんにく小さじ1(すりおろし)
B
・ イタリアンパセリ*33本
・ コリアンダー*33束
適量
胡椒適量
●ツファヤ
玉ねぎ3個分(薄切り)
レーズン1/2カップ
1/4カップ
オリーブオイル大さじ2
C
・ グラニュー糖大さじ4
・ 塩少々
・ 胡椒小さじ1/2
・ シナモン小さじ1/2
・ ターメリック小さじ1/2(省いても可)
・ バター大さじ1
●アリッサ
乾燥唐辛子20g(湯でもどしたもの)
クミンシード大さじ1/2(ホール)
コリアンダーシード大さじ1/2(ホール)
にんにく3片(皮をむいて芯を取る)
オリーブオイル適量
適量

*1 鶏の骨つき肉は、ここでは丸鶏を半羽、切らずに使用。
*2 さつまいもの代わりにじゃがいも(メークイン)やかぼちゃを入れてもよい。
*3 Bのイタリアンパセリとコリアンダーは紐で束ねてブーケガルニにする。

1クスクスを蒸らす

ボウルにクスクスと蒸すための材料を入れ、熱湯を何回かに分けて混ぜる。全体に水分が行き渡ったら、ラップをかけて10分ほど蒸らす。

クスクスを蒸らす

2ほぐす

クスクスが水分を吸ったら、ダマにならないように両手ですり合わせてほぐす。

ほぐす

3蒸す

2を蒸し器に入れ、蒸気が上がってきたら蓋をせずに10分蒸す。ボウルに戻して再度熱湯を適量加えて混ぜ、再度蒸す作業を2回繰り返す。

蒸す

4ツファヤをつくる

レーズンはさっと水ですすぎ、水気をきる。フライパン(または鍋)にオリーブオイル、玉ねぎ、水を入れて蓋をし、中火にかけて蒸し焼きにする。玉ねぎがしんなりとしたらC、レーズンを入れて混ぜ、弱火でときどきかき混ぜながら20分以上煮る。途中、水分が足りなくなったら水を適量足す。玉ねぎが濃い飴色になり、全体にとろっとした状態になったら完成。冷ましてから容器に入れ、冷蔵庫で約1週間保存可能。

5アリッサをつくる

すべての材料をスパイスミル(またはフードプロセッサー)でつぶし、ペースト状にする。煮沸消毒した瓶に入れ、表面をオリーブオイル(分量外)で覆って保存する。冷蔵庫で2~3ヶ月保存可能。

6肉と野菜の下ごしらえ

鶏肉はレモン汁、塩、オリーブオイルをからめてマリネしておく。にんじん、大根、ズッキーニ、さつまいもは大きめの棒状に切り、それぞれ面取りをする。キャベツはバラバラにならないよう、芯をつけたまま縦3等分に切る。

7煮る

鍋にオリーブオイルを入れて中火にかけ、玉ねぎを炒める。しんなりとしたら鶏肉を入れてさっと炒め、Aを少量の水(分量外)で溶いたものと水とBを入れる。沸騰したら弱火にし、しばらく煮る。

8根菜と豆を加える

20分ほどしたら、にんじん、大根を入れ、10分ほど煮たら、残りの野菜とひよこ豆、トマトを入れてさらに煮る。

9調味する

具材がやわらかくなったら、塩、胡椒で味をととのえる。

10器に盛る

蒸しておいたクスクスを皿に敷き、中央に鶏肉をのせて9のスープをレードル1杯分回しかけ、ツファヤをのせる。野菜類を鶏肉の周囲に放射状に並べ、ひよこ豆を散らす。スープは別添えにし、ツファヤと好みでアリッサを添える。

完成

教える人

口尾麻美 料理研究家

口尾麻美 料理研究家

アパレルの仕事を経て料理の道へ。世界各国へ旅をし、インスピレーションを受けた料理をイベントや料理教室で紹介。モロッコのほか、トルコやリトアニア、台湾などをテーマにした著書がある。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

※この記事の内容は、四季dancyu「冬のキッチン」に掲載したものです。

四季dancyu「冬のキッチン」
四季dancyu「冬のキッチン」
A4変型判(120頁)
2020年12月10日発売/1,000円(税抜き)
鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。