起き抜けのからだに染み渡る、中華粥のレシピです。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
夏になれば涼やかな磁器やガラスの器を使いたくなり、冬になればほっこりと温かな土ものの陶器に手が伸びるという方は多いと思います。でも今回、オカズデザインが提案したいのは、寒い季節に、ガラスや金属の器を使うこと。というのも、スタンダードな陶磁器だけで構成された食卓は、どこか単調で平坦な印象になりがち。そこにガラスの小鉢が混ざるだけでふっと抜け感が出る。鉄や真鍮(しんちゅう)の硬質な器が並ぶと、全体がぐっと締まってくる。器のコーディネートの妙がそこにあります。
また、ガラスや金属とひと口にいっても、その質感はさまざま。ガラスには透き通ったクリアなものもあれば、マットな風合いのすりガラスや、透けない色ガラスもあります。また、陶磁器と見紛うような質感の琺瑯の器や、一つ一つ手作業でたたいて形づくった、温もりをもつ真鍮の器もあるのです。「固定観念にとらわれず、それぞれの器の雰囲気をじっくりと感じながら、似合う料理を考えてみてはいかがでしょう。使い慣れた手持ちの器も、つくり慣れたいつもの料理も、合わせ方を変えてみるだけで新たな魅力を発見できるかもしれません。ただし、特に熱伝導の高い金属の薄手の器は、熱々の汁物などを盛るとやけどしますのでご注意を」とオカズデザイン。
今回も、普遍的でありながら、とびきりおいしいオカズデザインの料理のレシピとともにお届けします。
起き抜けのからだにやさしいのは、なんといっても朝粥です。鶏手羽からとったスープでお粥を炊き、取り出した鶏手羽の肉は裂いて胡麻油と塩で和えれば、ぴったりの添え物に。ピータンやなめ茸、塩漬け豆腐といった常備菜や、フレッシュな豆苗を添えて、少しずつ味を変えながらいただきます。添え物はガラスや、坂野友紀さん作の金属の小さな器に入れてたくさん並べると、軽やかで楽しげ。お粥の碗には金属と相性のいい青磁を選び、朝の清々しさを演出して。
★ 中華粥 | |
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・ 鶏手羽先 | 200g(または手羽元) |
・ 白米 | 70g |
・ もちきび | 10g |
・ 長ねぎの白い部分 | 15cm分(粗みじん) |
・ 生姜 | 1片分(細いせん切り) |
・ 水 | 1L |
・ 塩 | 小さじ1/2 |
・ 胡麻油 | 大さじ1 |
・ 胡麻 | 適量 |
★ 手羽の調味料 | |
・ すり胡麻 | 適量 |
・ 胡麻油 | 適量 |
・ 醤油 | 適量 |
・ 塩 | 適量 |
★ 粥に添える薬味 | (好みで) |
・ ピータン | 適宜 |
・ ザーサイ | 適宜 |
・ 豆苗 | 適宜 |
・ せり | 適宜 |
・ 塩漬け豆腐 | 適宜 |
・ 油条 | 適宜 |
米ともちきびを軽く洗って浸水させる。1時間したらザルにあげ、水気をよくきる。
鶏手羽をさっと水洗いし、キッチンペーパーで水気を拭き取る。厚手の鍋に鶏手羽、水、塩を入れ、強火にかける。沸騰したら火を止めて蓋をする。
フライパンに胡麻油を熱し、長ねぎと生姜を入れて弱火で炒める。香りが出てきたら1を加え、強火で炒める。油がなじんだら火を止める。
2の鍋を再度沸かし、3を加え、米がスープの中で踊るくらいの中火にする。アクが出たら取りながら煮詰める。20分たったらごく弱火にする。ときどき木ベラで底を混ぜながら、さらに40分くらい、好みのとろみ加減まで煮詰める。途中水分が足りなくなってきたら水を足す。味をみて足りなければ塩でととのえ、火を止める。
手羽を取り出し、身をはずしてほぐしてすり胡麻、胡麻油、醤油、塩など好みのもので軽く味をつける。
5の粥を器に盛り、胡麻をふる。6の手羽のほぐし身ほか、好みでピータンやザーサイ、豆苗やせり、塩漬け豆腐、油条などを添える。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
文:藤井志織 写真:伊藤達也
この記事は四季dancyu「冬のキッチン」に掲載したものです。