荻野恭子さんの冬のロシア家庭料理
アレンジ自在のロシアンジャム"りんごのヴァレーニエ"

アレンジ自在のロシアンジャム"りんごのヴァレーニエ"

「ヴァレーニエ」とはロシアのジャムのこと。旬の果実を砂糖で煮たフレッシュな風味が特徴です。「現地に行って、自分の目で見て味わいたい!」好奇心をかき立てられた荻野さんが、ロシアで教わった家庭料理をご紹介します。

“りんごのヴァレーニエ”のつくり方

春のいちごに、夏のベリー、秋のりんご。ロシアのジャム、ヴァレーニエは旬のフルーツを砂糖とサッと煮るだけのフレッシュな風味が身上。そのまま楽しむのはもちろん、ドリンクやデザートなど、アレンジも自在です。

材料材料 (つくりやすい分量)

りんご500g
砂糖*1250g
レモン果汁*21/2~1個分

*1 砂糖の量は果物の重さの30~50%が目安。砂糖はてんさい糖のグラニュー糖を使用したが、家にある好みの砂糖でよい。
*2 レモン果汁の量は、りんごの酸味によって加減する。酸味の強いりんごであれば、入れなくてもよい。

1りんごをカットする

りんごはよく洗ってへたと種を取り、さいの目に切る。

2砂糖とからめる

ホーロー(またはステンレス、ガラス)の鍋に1と砂糖、レモン果汁を入れてからめる。そのまましばらく(できれば一晩)おくと、りんごからたっぷりの水分が上がってくる。

砂糖とからめる
りんごに砂糖をまぶして数時間おくと、たっぷりと水分が上がってくるので、その水分で煮ます。

3煮る

2を中火にかけ、沸いたらアクを取りながら5~10分ほど煮る。

煮る

4瓶に詰める

3が熱いうちに保存瓶に入れ、蓋をして瓶を逆さにして置き、脱気する。

完成

ジャムをアレンジ!

ジャムの飲み物

耐熱グラスにりんごのヴァレーニエを適量入れ、熱湯を注いで混ぜれば完成。ヴァレーニエとお湯を、好みの割合で混ぜるだけのホットドリンクは、お茶を淹れるよりもずっと簡単。凍えるような寒い日にぜひ。

ジャムの飲み物

ロシア風ゼリー

鍋に水を入れて沸かしたところへ、りんごのヴァレーニエを1:1の割合で入れて溶き混ぜる。大さじ1の片栗粉を同量の水で溶き、加えてよく混ぜる。2~3分煮て粉気をとばし、とろみをつける。耐熱グラスなどに注ぎ、好みでサワークリームを添えれば完成。
片栗粉でとろみをつけた、葛湯のような温かいデザート。やわらかな食感と甘さにサワークリームのコクが相まって、やさしく癒やされるような味わい。リキュールやレモン果汁を加えても。

ロシア風ゼリー

アイスクリーム

バットにりんごのヴァレーニエと生クリーム(乳脂肪分の高いもの)を同量ずつ入れてよく混ぜ、冷凍庫で冷やし固めれば出来上がり。ヴァレーニエと同量の生クリームを混ぜて、冷凍庫で冷やし固めるだけ。途中で混ぜる必要もない手軽さがうれしい。さらりとした口どけに、果実の爽やかな風味が引き立ちます。季節のフルーツでアレンジを。

アイスクリーム

教える人

荻野恭子 料理研究家

荻野恭子 料理研究家

サロン・ド・キュイジーヌ主宰。世界各国の郷土料理を実際に現地で食べ、つくり、体験するのがライフワーク。特にロシア料理、食文化に造詣が深い。テレビ出演や著書も多数。

文:鹿野真砂美 写真:宗田育子

この記事は「四季dancyu 冬の台所」に掲載したものです。

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鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。