食材には旨味や苦味、色、香りなどの個性がある。塩だけで調理するからこそ、その素材の持ち味が生きてくるのです。塩の奥深さを知ることのできる料理を、細川亜衣さんに習いました。
塩釜といえば魚や肉料理をイメージさせますが、甘味や旨味が凝縮され、程よい塩味に仕上がる点で、野菜料理に本領を発揮すると思います。
卵白一個に対して塩100gの比率で泡立てて野菜を覆い、オーブンで1~2時間。鍋の中では塩味の蒸気が降り注ぎ、じっくり火が通ります。私は塩味のやわらかい沖縄の塩(シママース)を使いますが、海塩であれば好みのもので大丈夫です。塩釜は食べません。
好みの根菜 | 適量 |
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ハーブ | 適量 |
塩釜 | |
卵白 | 2個分 |
塩 | 200g |
鋳物、銅、鉄など熱伝導のいい鍋にたっぷりのハーブを敷き、よく洗った根菜を皮付きのまま重ならないように並べる。さらに上からハーブで覆う。今回は、さつまいも小2本、れんこん小2節、ごぼう(長さを半分に切る)1本、里芋2個、玉ねぎ小2個を使用。ハーブは、フレッシュのローズマリー、ローリエ、オレガノ、ラベンダーなど。
塩釜をつくる。冷やした卵白をハンドミキサーで泡立てる。角が立つくらいにしっかりと泡立ったら塩を数回に分けて加え、さらに逆さにしても落ちないようになるまで泡立てる。
1に塩釜をのせ、野菜を完全に覆うようにヘラで均一にのばす。
オーブンに入れ、180℃で1~2時間焼く。じっくり火を通したいので、オーブンは予熱なしで。竹串を刺して抵抗なく通るまで柔らかくなっていたら完成。塩釜を外して食卓へ。「肉と違い、根菜は焼きすぎるくらいのほうが、おいしさが引き立ちますよ」。
皿に盛り完成。上質なオリーブオイルやワインビネガーをかけても。余った卵黄は自家製マヨネーズに!卵黄2個分、米油または菜種油150g、塩5g、ワインビネガーまたは米酢10~20g(好みで加減する)をすべてボウルに入れ、ハンドミキサーで撹拌する。野菜のおいしさがギュッと詰まった塩釜焼きの最高のお供。ぜひお試しあれ!
料理家。シンプルなレシピと素材の持ち味を存分に生かした力強い味にファンが多い。『スープ』『野菜』(ともにリトルモア)など著書多数。
文:石出和香子 写真:在本彌生
※この記事の内容はdancyu2018年11月号に掲載したものです。