鍋のベースに、塩を効かせた納豆と香味野菜をつかう絶品鍋です。食材には旨味や苦味、色、香りなどの個性があります。塩だけで調理するからこそ、その素材の持ち味が生きてくるのです。塩の奥深さを知ることのできる料理を、細川亜衣さんに習いました。
この鍋は、わが家の定番と言えるほど、登場回数が多い料理です。食材を刻んでグツグツ煮込むだけですが、きのこの軸と納豆、たっぷりの香味野菜でベースをつくるのが、おいしさの秘訣です。
ここで活躍するのが塩。しっかりと塩味を効かせ、発酵食材と混ぜ合わせて別の調味料をつくる感覚で炒めていきます。しばらくするととろみが出て、だしいらずの鍋の素が出来上がり。ちょっとしょっぱいかな、くらいの加減で大丈夫です。
好みのきのこ | 400g |
---|---|
A | |
・ 納豆 | 2パック |
・ 細ねぎ | 2本(小口切り) |
・ 生姜 | 2片分(粗みじん) |
・ にんにく | 1片分(粗みじん) |
豆腐 | 1/2丁 |
油揚げ | 大1枚(湯通しする) |
こんにゃく | 1枚(下ゆでする) |
細ねぎ | 適宜(小口切り) |
豆乳 | 100ml |
白胡麻 | 適量 |
米油 | 大さじ4 |
酒 | 50ml |
塩 | 適量 |
きのこは、えのき茸、ひら茸、かぶとりなめこ、あわび茸など、好みのものを数種類合わせる。種類が多いほど、深みのある味わいになる。時間があれば、使う前にザルに広げて干しておくと味が凝縮する。きのこは石突きを除き、軸は細かく刻み、笠は食べやすい大きさにほぐす。油揚げは一口大の三角形に切る。こんにゃくは食べやすい大きさの細切りにする。
鍋にきのこの軸とA、米油を入れて強火で炒め、全体がさらっとしたら酒と塩を加える。食材から旨味を引き出す場合は、味見をして少ししょっぱいと感じるくらいに塩をしっかり効かせること!
つやが出てきたら、水を鍋の8分目くらいまで注ぎ、鍋についた焦げをこそげ取る。煮汁にとろみが出て白濁するまで、約10分、強火で煮る。
1のきのこの笠と油揚げ、こんにゃくを加えて軽く煮込み、豆腐を手で崩して加える。仕上げに豆乳を回しかけ、細ねぎと白胡麻を散らす。
料理家。シンプルなレシピと素材の持ち味を存分に生かした力強い味にファンが多い。『スープ』『野菜』(ともにリトルモア)など著書多数。
文:石出和香子 写真:在本彌生
※この記事の内容はdancyu2018年11月号に掲載したものです。