水のような透明感のあるだしは、塩だけだからつくれる味です。食材には旨味や苦味、色、香りなどの個性があります。塩で調理するからこそ、その素材の持ち味が生きてくるのです。塩の奥深さを知ることのできる料理を、細川亜衣さんに習いました。
うどんのだしはいりこと昆布の水だしを使い、塩(マルドン)と酒だけで味つけをします。小麦粉そのものの香りや繊細なだしの香りを生かすことを考えると、おのずと旨味の強い醤油を加えなくなりました。
仕上げは、生姜と柚子の香りで、爽やかさを加えます。四季を通して、香りのいい季節の具材をほんの少しだけ添えて、うどんとだしのおいしさをとことん味わいます。余分な味を足さないからこその味わいです。
五島うどん | 50g(乾麺) |
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生姜 | 2片(皮をむいてみじん切り) |
青柚子 | 2~3枚(輪切り) |
いりこと昆布の水だし | 1カップ |
酒 | 大さじ1 |
塩 | 小さじ1/4 |
鍋にだし(水1.5Lにいりこ大15本、昆布(10cm四方)1枚を入れ、冷蔵庫で一晩置いたもの)を入れて温め、酒と塩を加える。五島うどんは塩気があるので、沸騰後、味をみて、濃い場合はだしを足す。
うどんを袋の表示より2分ほど短くゆで、やや硬めのゆで加減でザルに上げて湯をきる。そのときにザルの下に器を置いておくと、ゆで汁で器も温められる。
器に1を注ぎ、うどんを合わせる。仕上げにったぷりの生姜と青柚子をのせる。柑橘は、黄柚子やすだちなど、好みの柑橘類でよい。
料理家。シンプルなレシピと素材の持ち味を存分に生かした力強い味にファンが多い。『スープ』『野菜』(ともにリトルモア)など著書多数。
文:石出和香子 写真:在本彌生
※この記事の内容はdancyu2018年11月号に掲載したものです。