ポトフは肉と野菜を一緒に食べることができるので、バランスが取れた料理です。今日は、手軽にボリュームたっぷりなポトフが20分ほどで完成するレシピを紹介します。
ポトフと聞いたときに多くの人が思い浮かべるのはにんじん、玉ねぎ、キャベツ、じゃがいもなどと一緒に、ソーセージのような加工肉が入っているスープではないでしょうか。
本来のポトフは、塊肉と野菜を煮込んだもの。昭和までの家庭料理のレシピ本を調べてみると、牛肉の塊や豚肉、あるいは骨付き鶏肉などを野菜と一緒に煮込んだものが多く、ソーセージやベーコン入りのレシピはあまりないのです。
平成に入ると、ソーセージ入りのポトフが徐々に増えてきます。今や、ネットでポトフを検索すると、ソーセージが入らないほうが珍しい。
現代的ポトフのレシピは、コンソメキューブを使って、野菜とソーセージを煮込むというもの。ベーコンならともかく、ソーセージは腸詰になっているため、旨味がスープに溶け出しにくい。だから、コンソメキューブを入れる必要があるのです。
旨味を出しにくいソーセージのポトフは、おいしくない……などと原理主義者的なことを言うつもりはありません。ソーセージとコンソメキューブのポトフは、経済と時間と手間を考え抜いた、日本の主婦が支持してきたレシピだからです(そしてこのポトフもなかなかおいしいと思います)。
ただ、ソーセージだけでは味わいとしてもの足りないのも事実。コンソメキューブを入れずにほかの食材で旨味を出したいところです。ベーコンも良いですが、ここは具としてのボリュームも考えて、スパムという選択はどうでしょう。
スープは多少濁ってしまいますが、スパムから出る旨味と肉としての食べ応えがあります。キャベツの串切りを少し焦がして加えることで、焦げの色と風味をスープに移してみました。
キャベツ | 1/4個 |
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スパム | 1缶 |
スナップえんどう | 7本 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
塩 | 小さじ1/2 |
水 | 800ml |
からし | 適量 |
キャベツ1/4を串切りで半分にする。葉がばらけないように、先端を楊枝で刺しておく。
フライパンにオリーブオイル大さじ1を入れ、中火にかける。フライパンが温まったら、キャベツの断面を下にして焼く。焼き色がついたら、裏返して焼き色をつける。水で煮るので、中まで火を通す必要はない。
半分に切ったスパムと水を加えて強火で10分煮込む。キャベツが柔らかくなったら、スナップエンドウを加えて2分煮て、塩で味を整えたら完成!
加工肉と大ぶりな野菜の取り合わせで、ポトフらしさを保ちます。仕事から帰宅して、フライパンを使ってスピーディに仕上がるレシピです。
――つづく。
文:有賀薫 写真:キッチンミノル