搾って、混ぜて、濾して1日ねかせるだけで簡単にできる、新鮮で香り高い手づくりぽん酢。シリーズ最終回は手づくりみかんぽん酢と、簡単につくれて上品なおいしさの「鯛と焼きねぎと豆腐の鍋」のレシピをご紹介します。
冬の味覚として、なくてはならない温州みかん。糖度が高くコクのある甘みは、意外にもぽん酢に合うのです。たっぷりの搾りたて果汁に(全体量の40%!)、今回は味醂ではなく、米酢を加えて味を引き締めます。
材料を合わせて一晩ねかせることにより全体が調和し、甘く華やかにみかんが香る、さっぱりとした甘さのぽん酢に仕上がるから驚き!みかんは9月から出回りはじめ、12月が収穫のピーク。この時期だからこそ、価格をさほど気にせず思う存分手づくりできるのも、うれしいポイントです。
合わせるのは、白い鯛の身と緑のクレソンの色の対比が美しい鍋。ひとくち食べれば鯛の滋味豊かな旨味と、爽やかなみかんの香りと優しい甘みが口の中で一体となる。年の瀬の疲れた身体へのご褒美にぜひ。
醤油 | 180ml |
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みかん果汁 | 180ml |
米酢 | 90ml |
鰹節 | 10g |
昆布 | 1枚(10cm四方) |
鯛 | 300g(刺身用) |
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ねぎ | 2本 |
クレソン | 2束(100g) |
焼き豆腐 | 1丁 |
昆布 | 1枚(10cm四方) |
かつお節 | 10g |
水 | 4カップ |
ねぎは3cmの長さに切る。フライパンを熱してねぎを入れ、弱火でしっかりと焼き色がつくまで焼く。豆腐は8等分の角切りにする。
昆布と水を鍋に入れ、1時間おく。中火にかけて沸騰する直前に昆布を取り出し、鰹節を入れて火を止めたら2分待ってからザルで漉す。
鍋にねぎと焼き豆腐を入れ、1を注ぎ中火にかける。
沸騰したらクレソンを入れる。鯛を並べ入れ、サッと火を通したらでき上がり。
最後に番外編として山田さんが教えてくれたのは、材料を混ぜるだけで簡単につくることができるヨーグルトぽん酢。柑橘を含んでいないので、正確にはぽん酢ではないものの、ヨーグルトのほどよい酸味とコクが、濃厚な旨味を演出。特に肉類を使った鍋に驚くほどよく合います(ぜひ試してほしい!)。
醤油 | 大さじ1 |
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めんつゆ | 大さじ1 |
ヨーグルト | 大さじ4 |
米酢 | 大さじ2/3 |
醤油、めんつゆ、ヨーグルト、米酢を器に入れ、なめらかになるまでよく混ぜたら完成。
これまで全4回にわたってご紹介した、手づくりぽん酢レシピは今回で最終回になります。第1回で書いたように、山田さんがゲストをもてなすときは、前日から手づくりぽん酢を仕込んで、ゲストに振る舞うそうです。
豪華なごはんに頭を悩ませなくても、手間暇かけたぽん酢で、パーティは盛り上がること間違いありません。たとえば手づくり餃子パーティや、春先にはぽん酢がよく合う初鰹を取り寄せるのも楽しいかもしれませんね。
また、海外在住者の方たちからの反響が多かったのも、このシリーズの特徴のひとつでした。ゆずやすだち、かぼすなど日本固有の柑橘は、海外ではなかなか手に入りにくいですが、その場合はライムやみかんぽん酢(ヨーグルトも!)をおためしください。
米酢で甘さの加減を調節すれば、オレンジなどほかの柑橘でも、問題なくつくることができます。
1982年、兵庫県生まれ。フレンチ、イタリアン、和食などのシェフを歴任後、現在は雑誌、書籍、テレビなどへレシピ提供を行う。2015年より、and recipeを設立。「旅と人と食」をテーマにしたサイトの運営と、「食」を中心としたリアルな場所でのコミュニケーションを通じて、世界に活躍の場を広げている。著書に「にんじん、たまねぎ、じゃがいもレシピ」(光文社)、「かけ焼きおかず」(グラフィック社)などがある。
つくりたてのぽん酢を味わうのが一番幸せな時間だが、ねかせてみると次第に柑橘の酸味の角が取れて、熟成してまた違った味わいになると、山田さんは教えてくれました。そこで、今回ぽん酢を仕込んだ10月22日からちょうど100日後の2019年1月30日に、山田さんをお招きして、「100日ゆずぽん酢」を味わう会を開催する予定です。詳細は近日発表します!お楽しみに。