
今アツいのが点心酒場だ。柑橘サワーとめくるめく創作点心の店や、ナチュラルワインと小皿中華に唸る一人飲み酒場、さらには中国茶ハイと自家製ダレで魅了するバルまで! この夏、最もアツい3軒をご案内しよう。オリジナル点心と、クラフトサワーが沁みる、鶯谷の「点心すや」へ!







鶯谷駅から目と鼻の先。小粋な飲み屋が集まる一角に、これぞ点心酒場と頷きたくなる店がある。その名も「点心すや」。揃いのTシャツで店に立つ須田智尋さんと安元晋吾さんは、店の向かいに立つ華調理製菓専門学校でともに中国料理の講師をしていた仲だ。互いに店を持とうと思ったタイミングが重なり、ならばと手を組んで、アラカルトで楽しめる点心の店を開いた。
中華の基本のきを腕に刻み込んできた二人である。王道の味を想像していたら、予想は気持ちいいほどあっさりと裏切られた。「うちでしか食べられないメニューを」と料理に徹する須田さんが言う通り独創的なのだ。
初夏。メニューに上る季節の春巻きの具はなんと、鰺のなめろう。バリンと弾けた皮の中からレアな鰺と香味野菜の爽やかなジュースが広がり、軽い衝撃が走る。水餃子は粒マスタード入りのミルクスープに浸っているし、チャーシューは焼きたてときた。名物の焼き餃子も個性が光る。手づくりの皮に包まれた餡はシンプルながらも、蒸してから中華鍋で焼いた食感は焼きおにぎりのよう。極めつきはエビチリだ。バイマックルーや陳皮を混ぜた衣をまとった海老を、マンゴー入りの甘辛いソースにからめながら味わうだなんて。こんなエビチリ、食べたことない。
安元さんが兄のように慕う須田さんの点心は、香味野菜やスパイスを巧みに使った鮮やかな香りが心地よい。「お兄さんの点心には柑橘が合う」と目を細める安元さんは、旬の柑橘でクラフトサワーの素を仕込んでいる。レモン、八朔、甘夏、金柑……。爽快な柑橘サワーと独創的な点心。その取り合わせに心躍る酒場である。


文:安井洋子 撮影:長野陽一