
今アツいのが点心酒場だ。柑橘サワーとめくるめく創作点心の店や、ナチュラルワインと小皿中華に唸る一人飲み酒場、さらには中国茶ハイと自家製ダレで魅了するバルまで! 最もアツい3軒をご案内しよう。まずは、広尾のちょいつまみ点心酒場「岡飯(オカファン)」へ!
場所は恵比寿と広尾の中間。洗練された閑静な住宅街にありながら、「岡飯」にはゆるっと肩の力の抜けた空気が漂っている。その源は、圧倒的に気さくで出会った瞬間から親しみを覚えてしまう岡本孝志さんにある。
みんなから「岡ちゃん」と呼ばれる店主はもともと、渋谷はのんべい横丁のフレンチ酒場出身。カウンター席のどこかから「焼売ください」とオーダーが入れば、「こっちも」「私も」と注文が連鎖する。そんな横丁のグループ感が色濃く流れているものだから、気張らずに楽しめて居心地がいい。




つまみは小皿で、どれも一人前のポーション。あれこれ頼みたい一人飲み好きにはたまらない。「もともと中華は素人だったし、たいしたことはしてないんです」。岡ちゃんはそう謙遜するけれど、なかなかどうして。焼売は肉種に鶏ガラスープと自家製ねぎ油を練り混ぜ、オーダーが入ってから皮に包んで蒸し上げる。北京ダックを思わせる中華風クレープや、担々風味の干し豆腐はひねりが利いているし、花椒塩で食べるこぶし大の唐揚げは目を見張るほどカリッとジューシーで美味しい。
初めの一杯に、はたまたワインの合間に焼酎のソーダ割りが楽しめるのも「岡飯」ならでは。横丁時代からの慣れた手つきでつくる岡本さんのソーダ割りは炭酸が心地よい。「天狗櫻」のソーダ割りが抜群に旨い。
酒のセレクトがまたいい。鎌倉の名酒販店「鈴木屋酒店」などから仕入れる筋のいいナチュラルワインがセラーに並び、ボトルはそこから自分でピックアップするスタイル。グラスは、好みの味を伝えるとばんばん開けてくれる気前のよさ。さらには芋焼酎も、いま注目の白石酒造「天狗櫻」を揃えているのだから飲まずにはいられない。
あれもこれも頼んでつまんで、ワインと焼酎のソーダ割りを行き来できる気安さ。この感じを味わいたくて、岡ちゃんに会いたくて、ついまた足が向かってしまうのだ。

文:安井洋子 撮影:長野陽一