飛行機の移動の際は余裕をもって空港に到着しておくという松尾さん。待ち時間はどこかの飲食店で時間をつぶすそうですが、今回はカレーうどんをチョイス――。
飛行機はその移動速度が速い割に、早々と空港に着いていなくてはならないので、どうにもそれが無駄のような気がする。以前、搭乗の時間まで2時間あるからとたかをくくっていたら、駐車場に停める待ち時間が「180分」と掲示されていてパニックになった。
搭乗手続きを済ませてからフライトまで1時間半以上あることはざらで、そんな時に空港の飲食店が充実していることは何ともありがたい。
羽田空港の第1ターミナルに、「cuud」というシンプルなロゴの店がある。大きめの暖簾に「カレーうどん」と書いていなければ、何の店なのか分かりにくいお洒落さだ。
数年前にたまたま見つけて入ってみたら、なかなかに洗練された味のグレイビーで、スパイシーでもある。それからこの近くで待つ時間があるときは、たいてい使わせてもらっている。
昼時だったので、退店するまで行列が途切れることがなかったが、席数が多いのでそれほど待つことがない様子だ。
最近そこかしこで見られる、大きなカラー画面の券売機で食券を購入して、カウンターへ。今回はカレーうどんとトマトカレーうどんのハーフアンドハーフにして、大盛りでお願いした。
通常の高さの椅子用カウンターと、スツール用の高めのカウンターがあるのはいろんな国の人に利用してもらえる工夫なのだろうか。
カウンターの中からグラスに冷たいお茶を注いでくれてしばし待つと、トレイごと提供される。
トマトカレーはやはり酸味が利いているけれど、全体的にマイルドな味わい。出汁の旨味を感じつつ、稲庭風細目のうどんが、よくカレーに絡んで食べやすい。交互に食べて、添えられているご飯をカレーに沈めつつ二度美味しい、いや二種なので三度、いやそれぞれが二度だから四度美味しいのか。箸休めのピクルスも食べやすく健康的ななお味だ。
ご飯を食べた後もまだ少しグレイビーが残るので、そこに添えられた出汁スープを入れて最後まで汁を楽しむ。これはなかなか無駄がない。
初めて大盛りを頼んだけれど、おじさんにはちょうど良い加減かもしれない。ひと心地ついて、待合い室に。空港内のラウンジでコーヒーを飲む。個人的にはこれもセットとして定着しそうだ。
この「cuud」という店名の由来は何だろうか。「curry」と「udon」の頭2字ずつを取って並べたのだろうか。まさか「喰うど!」という宣言ではないだろう……。
文・撮影:松尾貴史