松尾貴史のカレードスコープ
出汁とスパイスを堪能する空港のカレーうどん|松尾貴史のカレードスコープ(97)

出汁とスパイスを堪能する空港のカレーうどん|松尾貴史のカレードスコープ(97)

飛行機の移動の際は余裕をもって空港に到着しておくという松尾さん。待ち時間はどこかの飲食店で時間をつぶすそうですが、今回はカレーうどんをチョイス――。

四度美味しいカレーうどん

飛行機はその移動速度が速い割に、早々と空港に着いていなくてはならないので、どうにもそれが無駄のような気がする。以前、搭乗の時間まで2時間あるからとたかをくくっていたら、駐車場に停める待ち時間が「180分」と掲示されていてパニックになった。
搭乗手続きを済ませてからフライトまで1時間半以上あることはざらで、そんな時に空港の飲食店が充実していることは何ともありがたい。
羽田空港の第1ターミナルに、「cuud」というシンプルなロゴの店がある。大きめの暖簾に「カレーうどん」と書いていなければ、何の店なのか分かりにくいお洒落さだ。
数年前にたまたま見つけて入ってみたら、なかなかに洗練された味のグレイビーで、スパイシーでもある。それからこの近くで待つ時間があるときは、たいてい使わせてもらっている。

店内

昼時だったので、退店するまで行列が途切れることがなかったが、席数が多いのでそれほど待つことがない様子だ。
最近そこかしこで見られる、大きなカラー画面の券売機で食券を購入して、カウンターへ。今回はカレーうどんとトマトカレーうどんのハーフアンドハーフにして、大盛りでお願いした。
通常の高さの椅子用カウンターと、スツール用の高めのカウンターがあるのはいろんな国の人に利用してもらえる工夫なのだろうか。
カウンターの中からグラスに冷たいお茶を注いでくれてしばし待つと、トレイごと提供される。

カレーうどん

トマトカレーはやはり酸味が利いているけれど、全体的にマイルドな味わい。出汁の旨味を感じつつ、稲庭風細目のうどんが、よくカレーに絡んで食べやすい。交互に食べて、添えられているご飯をカレーに沈めつつ二度美味しい、いや二種なので三度、いやそれぞれが二度だから四度美味しいのか。箸休めのピクルスも食べやすく健康的ななお味だ。
ご飯を食べた後もまだ少しグレイビーが残るので、そこに添えられた出汁スープを入れて最後まで汁を楽しむ。これはなかなか無駄がない。

初めて大盛りを頼んだけれど、おじさんにはちょうど良い加減かもしれない。ひと心地ついて、待合い室に。空港内のラウンジでコーヒーを飲む。個人的にはこれもセットとして定着しそうだ。
この「cuud」という店名の由来は何だろうか。「curry」と「udon」の頭2字ずつを取って並べたのだろうか。まさか「喰うど!」という宣言ではないだろう……。

入口

店舗情報店舗情報

cuud(クウド)
  • 【住所】東京都大田区羽田空港3‐3‐2 羽田空港第1旅客ターミナル2F
  • 【電話番号】03‐5757‐8857
  • 【営業時間】10:00‐19:30(L.O.)
  • 【定休日】なし
  • 【アクセス】東京モノレール「羽田空港第1ターミナル駅」より1分

文・撮影:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。11月に新刊『違和感にもほどがある!』が発売、その他著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』(すべて毎日新聞出版社)等がある。