松尾貴史のカレードスコープ
すべてがいい塩梅のチキンカレー|松尾貴史のカレードスコープ(89)

すべてがいい塩梅のチキンカレー|松尾貴史のカレードスコープ(89)

ある日ふらりと気になった店を訪れた松尾さん。くつろげる店内で出てきたのは、夏にうってつけの爽やかな一皿で――。

ミントとパクチーが食欲をわかせる

中目黒から池尻大橋に少しよったあたりの裏通りで、通りすがりにさりげない「チキンカレー」の文字を見つけて、気になって吸い込まれた。「THE TAMUYA」というビストロを昼間に間借りで営業なさっているそう。

一人でオペレーションしておられる。どこかゆったりとした時間が流れていて、くつろげる雰囲気だ。
お店の方は優しい応対で、初めての店に抱きがちな緊張感がすぐさまほぐれた。

メニュー表には、チキンカレー

ミント(とコリアンダーの)チキンカレー、チキンキーマカレー、ラムキーマカレー、そして普段はサバカレーと牡蠣カレーもあるようだが、この日は品切れ中になっていた。これらを含め、だいたい3種類を用意しているそうだ。

初めての訪問なので2種類は食べたいと思い、ハーフサイズ(なのか?)でラムキーマとミントチキンカレーを所望した。

水を出してくれながら「辛いのは大丈夫ですか?」と聞いてくれるのは、苦手な人にはありがたいだろう。

カレー

黒板にある夜のビストロメニューなどをチラチラみながら数分、最初の客だったということもあろうか、程なくしてカトラリーに続き、カレーが登場した。

ラムキーマはすでにライスに乗せられていて、ライタがほどよくかけられている。パクチーがふんだんに盛られ、それを少し勢いをつけて「わしわし」といただく。

羊の香りを生かしつつ塩加減が絶妙。ミントチキンカレーは別皿で、手羽元が中央に鎮座している。スプーンと指先で容易に肉が外れ、こちらも塩梅がいい。

チキンのミントは期待通りの爽やかさ、カレー界のモヒートと言うと誤解を招くかもしれないが、これからの季節にはさらに食欲がわきそうだ。馥郁としたコリアンダーとの相性が個性的な面白い風味を醸している。

ライスはタイ米を多めに、日本米とブレンドしているそうで、やはりランチはお腹にしっかり「満ちた」感を得やすいようにしているという。

外観

店舗情報店舗情報

ダン カレー
  • 【住所】東京都目黒区東山1‐11‐15
  • 【電話番号】なし
  • 【営業時間】12:00‐14:30(L.O.)
  • 【定休日】土曜 日曜 不定休あり
  • 【アクセス】東急田園都市線「池尻大橋駅」より10分

文・撮影:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』、『ニッポンの違和感』(毎日新聞出版社)等がある。