松尾貴史のカレードスコープ
エスニックな香り漂うオムライスカレー|松尾貴史のカレードスコープ(78)

エスニックな香り漂うオムライスカレー|松尾貴史のカレードスコープ(78)

カレー店が多い大阪梅田周辺を散策していた松尾さんは、可愛らしいインドネシア料理店を発見。メニューを見るとオムライスにカレーグレイビーをかけた「バリ・オムライス」なるものを発見。そのお味とは――。

プチリゾート気分を満喫できる店

大阪梅田からすぐ隣の、地下鉄御堂筋線中津駅近辺にはオリジナルのカレーを出す店がいくつもあって、この界隈で働く人たちの便利でお値打ちの美味しい台所となっている。
駅から地上に出てほんの少しのところに、インドネシア料理の可愛い店を見つけた。
おそらくインドネシアの方だろう、男性のシェフと女性スタッフが2人、にこやかに迎えてくれた。
店頭のメニューにあった、「バリ・オムライス」をいただくことにした。
カウンターに座って、有線のBGMだろうか、荒井(松任谷)由実さんの「ベルベット・イースター」や坂本龍一さん・忌野清志郎さんの「いけないルージュマジック」などの懐かしい曲を聴きながら料理の提供を待つ。
ほどなくして、ミニサラダに続いて春雨と鶏肉が入った、ほのかにエスニックなスパイスを感じる優しいスープが出てきた。

スープ

やがて登場したバリオムライスは、昔ながらのオムライス状で薄焼き玉子に包まれているが、中身は白ごはんではなくナシゴレンだ。「ナシ」はご飯、「ゴレン」は揚げたり炒めたりする意味で、つまりはインドネシアの周辺で言うところの焼き飯、炒飯のような物だ。
干した小エビかな、香ばしい海の香りと魚醤で炒めたのか、食欲をそそる香り。薄い玉子をスプーンのエッジで割いて甘旨いナシゴレンを露出させるわくわくした感じが嬉しい。
上から全体的にかけられているのはさらりとした牛挽肉のカレーグレイビーで、このスパイシーさをオムライスが纏っていてすこぶる塩梅がいい。あっさりスープとの相性抜群で、どんどん食べ進む。

バリオムライス

添えられているにんじんや大根のピクルスは穏やかな酸味で、これも全体の優しい雰囲気を調和させている。
シェフにうかがうと、バリ島で食べるとこんなスタイル、というわけではないらしい。ナシゴレンには目玉焼きが乗せられることが多いが、ナシゴレン・パタヤのように薄焼き玉子を使うこともある。
ここ「バグース」のバリオムライスは、日本の洋食オムライス風に薄焼き玉子で包み、その上にカレーをかけるというオリジナルスタイルだ。
シェフは、バリ島のすぐ西隣、数キロ離れたジャワ島の東側、風光明媚な町バニュワンギ出身だそうで、日夜、料理の研究に余念がない。
気がつくと、BGMは(多分)インドネシア音楽に変わっていた。お店の方が皆さん明るく優しい雰囲気で、笑顔で迎えてくれて笑顔で送り出してくれる。日常にプチリゾートをさせてもらった気分だ。
バリオムライスにミニサラダ、スープ、食後のドリンクまでついて1,000円ちょうどとは、こちらも笑顔にならざるを得ない。

外観

店舗情報店舗情報

バグース インドネシアンキッチン
  • 【住所】大阪府大阪市北区中津1-9-11
  • 【電話番号】06-6376-5818
  • 【営業時間】11:00~14:30 17:00~22:30 (L.O.)
  • 【定休日】火曜
  • 【アクセス】大阪メトロ「中津駅」より2分

文・撮影:松尾貴史

松尾 貴史

松尾 貴史 (俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト)

1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学デザイン学科卒業。 俳優、タレント、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広く活躍。下北沢のカレー店「般゜若」(パンニャ)店主。著書に『人は違和感が9割』、『違和感ワンダーランド』、『ニッポンの違和感』(毎日新聞出版社)等がある。