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常識を覆す手法で羊を焼く「タクボ」|羊が旨い店③

常識を覆す手法で羊を焼く「タクボ」|羊が旨い店③

恵比寿にあるイタリアン「タクボ」では、薪で焼くからこそ味わえる羊の旨さが楽しめます。お好きなみなさんならご存じのように、羊はクサいとか、カタいとか、そんなのは昔の話。今や幅広いジャンルで、香り高く軽やかで、素晴らしくおいしい羊料理が食べられます。そんな羊がおいしい店をご紹介します!

赤い炎が燃える、肉の殿堂入りイタリアン

カウンターに座ると、暖炉のような炎が見える。薪を燃やしている火だ。この店では、その熾火でメイン料理の肉を焼いている。
厚みのある骨付き仔羊を焼く時間は10分ちょっと。冷蔵庫から出した肉を常温に戻さず焼き始め、焼けた後も休ませない。今まで学んできた肉焼きの常識を覆す、独自の手法だ。

薪
毎日30~40本の薪を使う。「羊は特に薪に向く素材です」と田窪大祐シェフ。

そうして出てきた肉にナイフを入れれば、表面はしっかりと焼き固められている。しかし、中は弾力があって想像以上にしっとり柔らかだ。口に入れると、脂身は良質なバターのようにミルキーで、肉の味を包み込む。優しく、きめ細かく、みずみずしくて、ああ、なんてピュアで美味しいんだろう……。

仔羊の薪焼き
仔羊の薪焼き。表面は薄くバリッと焼き固められ、みずみずしいまま旨味が閉じ込められている。脂はミルキーで、冷めてもくどさはない。

こんな味わいの羊の産地はどこなのかと、思わず田窪大祐シェフに問うと、ごく普通のオーストラリア産という。
「皆さん意外だとおっしゃいます。薪の効果で肉の印象が変わるんですよ」
聞けば、薪の熾火の火力は強く、肉の表面はカリッと焼ける。しかし炭と違い水分を含んだ火なので、中はしっとり火を通せる。短時間でグラマラスな焼き加減が実現されるのだ。そしてごく軽い燻香が、脂の臭みを消してミルキーさだけを感じさせてくれるそう。
恐るべき薪効果で、羊は最大限に可能性を開花させたのである。

店内
コースのみ12,000円~。グラスワイン1,296円~、ボトルワイン6,480円~。チャージ1,200円。要予約。羊料理は予約時にリクエスト。

店舗情報店舗情報

TACUBO
  • 【住所】東京都渋谷区恵比寿西2‐13‐16
  • 【電話番号】03‐6455‐3822
  • 【営業時間】17:00~23:00(L.O.) 土曜は11:30~13:00(L.O.)も営業
  • 【定休日】日曜(月曜が祝日の場合、日曜営業で月曜休み)
  • 【アクセス】JR・東京メトロ「恵比寿駅」より10分

文:浅妻千映子 写真:飯貝拓司

※この記事の内容はdancyu2018年6月号に掲載したものです。