人形町にある「和酒 焼鳥 ももふく」は、福島への愛が詰まった店です。福島の銘柄鶏のもも肉は焼鳥好きなら一度は食べなくてはならない味です。
“福島”愛にあふれた店である。冷蔵庫には福島の地酒が、品書きには福島の佳肴が並ぶ。女将の能登玲(れい)さんは福島市出身。震災以来、故郷の役に立ちたいと考えていた。
「日本酒は全国新酒鑑評会で金賞受賞数7年連続日本一。桃やりんごなどの果物も、米も野菜も鶏肉も、何でも美味しいことをお伝えしたいんです」
焼鳥には、福島の銘柄鶏“伊達鶏”を。「もも肉の柔らかさと脂ののりがピカイチ」と、夫で店主の謙二さん。「ももふく」一番人気の串は“まる”。もも肉を皮と身に分け、身を切り分けてから皮を巻き直し、串に刺す。このひと手間で皮が肉の旨味を閉じ込め、焼きたてを頬張ると鶏のエキスがジュッと口中に噴き出すのだ。
店名の「ももふく」には「もも肉を食べて幸せに」という思いが込められている。別の由来もあるので、女将にぜひ聞いてみて。そこにも故郷への愛が、きゅっと詰まっているから。
鶏ガラを6時間ほど煮込んでつくる超濃厚スープとご飯が完全に一体化!まるでポタージュのようなとろとろの口当たり。米は福島産の“天のつぶ”を使用。450円。
文:佐々木香織 写真:岡本 寿
※この記事の内容はdancyu2019年11月号に掲載したものです。