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生ハムとお燗でゆるむ「きたぽん酒」|ちょっとお店で呑みたい①

生ハムとお燗でゆるむ「きたぽん酒」|ちょっとお店で呑みたい①

今まで通りとはいかないけれど、ちょっと外で呑みたい気分の日、ありますよね?東京・恵比寿にある「きたぽん酒」は、おおらかな店主が迎えてくれる日本酒酒場です。ゆるりと呑みたい気分のときに、ぜひ立ち寄ってみてください。

日本酒密度の濃厚な恵比寿の酒場

3つの燗酒器を使い分ける。
店主の北尾秀仁さん。「きたぽん」は北尾さんのあだ名。
作家の酒器。

カウンターのみ8席。現代の“方丈”と呼べそうな小さな空間が、日本酒熱で上気している。壁面の冷蔵庫いっぱい、頭上の棚にも一升瓶がびっしり。その数、実に500本以上。作家ものの酒器コレクション。カウンターの天板は吉野杉。「酒造りと一番関係の深い木材なので」というのが、その理由。愛だけじゃない。リスペクトがある。

この日本酒密度の濃さに浸りながら飲む燗酒が、また格別だ。店主の北尾秀仁さんが料理に合う酒を選び、50℃、60℃、90℃の台の酒燗器を器用に操りながら、燗をつけてくれる。

スペシャリテは、熟成の旨味がのった生ハムの盛り合わせ。イタリア製のスライサーでフワフワの極薄切りにしたグアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)を一片、ひらりとつまんで口に入れ熱めの燗酒を啜る。じゅんわり溶け出す脂の甘さ。燗をまた一口。止まらない無言のループ。「この相性を伝えたくて店を開いたようなもの」という北尾さんの言葉にうなずくばかり。

生ハムを含む料理4品、酒約2合の“おまかせ”は、6600円。またはアラカルトでも、どちらにしても幸せな夜が待っている。

コース仕立ての“おまかせ”は、前菜と、生ハム2種盛り、クレソンサラダなどの野菜の一皿と季節の魚の焼き物が出る。生ハムの部位は日によるが、グアンチャーレ(手前)はマストで。
「地鶏の胸肉の低温調理 ねぎのムース」しっとりと柔らかな鶏ハムの前菜で、一皿目から燗が進む。野菜や肉、調味料は、可能な限り自然栽培で無添加の食材を使用。土物の酒器や洋皿など、多彩な器使いも楽しい。
きたぽん酒
予算6000円~。カード可。カウンター8席。禁煙。2019年4月1日開店。日本酒(90ml)500円~。要予約。

店舗情報店舗情報

きたぽん酒
  • 【住所】東京都渋谷区広尾1-10-5 日興パレス広尾プラザ103
  • 【電話番号】03-6882-4800
  • 【営業時間】17:00~24:00(閉店)
  • 【定休日】不定休
  • 【アクセス】JR・東京メトロ「恵比寿駅」より10分

文:堀越典子 写真:平松唯加子

※この記事の内容はdancyu2019年7月号に掲載したものです。