カメラマンが、いつかまた食べたい料理
ステーキ、うどん、友人のカレー|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

ステーキ、うどん、友人のカレー|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンの森本菜穂子さん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

森本菜穂子さんが食べに行きたいのは――。

フランス・パリの食堂のステーキ

フランス・パリの食堂のステーキ
また自由に移動ができるようになったら、世界の色んな食堂に行きたいです。フランス・パリのこの食堂は2〜3年で3回程行っただけですが、いつ行っても休日のような雰囲気が漂っています。呑気で楽しそうな顔をしたお客さんで賑わっているので(私もその一人です)座っただけでニコニコしてしまうし、この雰囲気で食べれば、たとえステーキが硬くてもポテトが塩辛くても「美味しい!」と楽しめます。味の美味しさだけではない体験が、私にとっては大切なのだと気づかせてくれたレストランのひとつです。

香川・善通寺「宮川製麺所」のうどん

香川・善通寺「宮川製麺所」のうどん
香川県観音寺市にいりこ屋「やまくに」があります。彼らの手仕事を見学、撮影に行った際に連れて行ってもらった、うどん屋さんです。かけうどんのおつゆは、いりこだけで出汁をとっています。それは今では香川でも珍しいそうです。麺をオーダーしたら、大きなずん胴鍋から出汁を柄杓ですくってかけて食べます。とにかく美味しいです。出汁は朝一番には透き通っていて、時間が経つにつれ、底にあったいりこの身が混ざって複雑な味わいが出るらしく、行く時間で違う風味を楽しめるのも面白いです。たとえ材料があったとしても自宅では再現できない熟練のしごと、絶妙な塩味といりこの香りのバランスまた食べたいです。

友人が目の前で作ってくれたカレー

友人が目の前で作ってくれたカレー
私は食べるのが大好きなんですが、実は食べる前のこの時間が最も好きなのかもしれません。人がお料理をしている様子をみていると、その人らしい食材の扱い方や調味料の使い方などから、自分の知らない技が大発見に思えて、気分が高揚します。ごはんができるまでのこの時間はダラダラと思いつきの会話をしていると思わぬ深い議論まで発展したり、脱線した話のように当初作ろうとしていた料理と違っても笑って「美味しいね。」となったりします。一皿ができるまでの時間にあるものをちょっと大袈裟に言うと物語とも言えるかもしれないです。そんな体験をまた楽しめるようにこれから新しい生活様式を工夫したいです。

写真・文:森本菜穂子