カメラマンが、いつかまた食べたい料理
T-BONEステーキ、蟹カレー、鶏油豌豆|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

T-BONEステーキ、蟹カレー、鶏油豌豆|カメラマンが、いつかまた食べたい料理

カメラマンの長野陽一さん。今、食べに行きたい、会いに行きたい料理はなんですか?と聞くと……。

長野陽一さんが食べに行きたいのは――。

ステイホーム。
長いこと外食らしいそれをしていない。
近所のお店のいつもの味を、たまにテイクアウトで楽しんでいるが、できれば厨房やホールの声を聞き、お客さんに囲まれて、わいわいとその料理を味わいたい。
取材に行けず、この記事のように家で原稿を書いたり、
膨大な過去の写真から必要なデータを探す時間が続いている。
料理の写真を見つけては「これ美味しかったな」と
味だけでなく、一緒に食べた人や話したことなど、当時の記憶を呼び覚まし、またその場所へ訪れたくなる。

人恋しさはあるものの、
世の中はもちろん、世界が落ち着いたら食べに行きたい料理を、
遠くへ旅に出たくなった勢いで3つ、選びました。
珍しい料理でなく、美味しさの驚きはあるものの、どこかなつかしくホッとする味。
いま食べたい料理は、かつて旅先で家族や仲間たちとテーブル(カウンター)を囲み、
疲れた胃袋にやさしかった思い出の料理だ。
以前と変わらず、また安全に旅行ができますように。
願いを込めて。

イギリス・ロンドン「THE STEAKHOUSE AT HARRODS」のT-BONEステーキ

風景
ステーキ
ポテト
ハロッズの食品売り場の一角にある、カウンター席だけのカジュアルなステーキ屋さん。かつて家族旅行でロンドンを訪れ、毎日外食続きで困っていた時に見つけて本当にありがたかった。焼き方を聞かれ、ミディアムレアと伝えたものの、しっかりミディアム以上に焼かれて出てきた。それでも充分、柔らかくてジューシー。カウンターに並んでステーキを食べる。おしゃれで愛嬌がある雰囲気が良い。サラダとポテト、ハロッズのラガービールがまたうまい。

ハワイ・オワフ ベトナム料理「MAI LAN」の蟹カレー

風景
蟹カレー
マンゴープリン
雑誌のハワイ特集でスタッフみんなでお皿を囲んだ思い出のカレー(20年近く前なので青春の味といってよい)。バゲットにカレーをつけ、手をギトギトにしながら蟹を貪るワイルドな食べ方も好きで、ハワイを訪れる度にこれが食べたくなりお店まで車を走らせる。春巻きに空芯菜炒め、最後はマンゴープリンでシメる。また大勢でわいわいこのカレーを食べたい。

台湾・台北「人和園雲南菜」の鶏油豌豆(えんどう豆のスープ)

えんどう豆のスープ
えんどう豆のスープ
揚げ団子
風景
一昨年、はじめての台湾ロケでコーディネーターに連れていってもらったのが雲南料理のこの店だった。最初に注文したえんどう豆と鶏ガラのスープが台湾初の食事で、移動と撮影で疲れた身体に優しく、かつ衝撃的な美味しさだった。滞在中、美味しい台湾料理をたくさんいただいたが、このスープが忘れられず、鶏油豌豆目当てに再訪。滞在中2度食べに行く。ささげ豆と海老の揚げ団子とエリンギの炒めものも忘れてはいけない。

写真・文:長野陽一