「Shinfula」10個のケーキ。
森のエクレア|「Shinfula」のケーキ⑤。

森のエクレア|「Shinfula」のケーキ⑤。

「Shinfula」のエクレアは実に独創的な見た目だ。たっぷりと搾られたクリームの上に、ナッツやシュー生地が舞い散るように踊っている。”森”をテーマにしてつくられたエクレアは「Shinfula」がオープンしたときからの人気商品だ。

森の恵を想わせるエクレア。

「森をテーマにしたお菓子を創りたい!そう思って考えた一品で、オープン当初からつくっています」と語る中野慎太郎シェフ。
枯葉舞い散る秋の森をイメージさせる「森のエクレア」は、中野シェフの出身レストラン「NARISAWA」にルーツがある。
成澤由治シェフが標榜していた“食を通して人と自然が共存し寄り添う“という考え方である「里山キュイジーヌ」に因んで、森をテーマにした菓子をつくろうと考えたそうだ。

エクレア
「森のエクレア」578円。シュー生地のサクサクとした食感を損なわないために、クリームをはさむのではなく、生地を飾り付けている。

中野シェフが森から発想したのは、樹液と木の実。

「森のエクレア」に使う2種類のクリームに、欅の樹液であるメープルで風味をつけた。カスタードクリームとバタークリームを足したカスタードクリームだ。

これらを2層にしてシュー生地に詰め、ナッツををたっぷりトッピングしたエクレアに仕上げた。

断面
シュー生地とナッツを上部にあしらい、その下にはバタークリーム、カスタードクリーム、フィヤンティーヌが仕込まれ、ほんの少しの塩がふりかけられている。

クリームの上には松の実、アーモンド、ヘーゼルナッツにピーカンナッツが贅沢にあしらわれている。

ナッツのカリカリとした食感に呼応するかのようなシュー生地のサクサク感、加えてクリームの下に敷いたプラリネノワゼット入りチョコレートのフィアンティーヌによって、実に軽快なテクスチャー。

菓子全体の甘味を引きしめるため、最後にふり塩をするひと手間は”お汁粉に塩”の発想に似たものがある。

「NARISAWA」で和菓子のミニャルディースもつくっていた中野シェフらしいアイデアだろう。

濃厚な味わいでありながら、最後まで飽きさせない仕掛けが見事だ。

中野シェフ
「フランスの伝統菓子であるパリブレストとエクレアを合わせたような菓子ですね」
ケーキ

――12月6日につづく。

店舗情報店舗情報

Shinfula
  • 【住所】埼玉県志木市幸町3-4-50
  • 【電話番号】048-485-9841
  • 【営業時間】11:00~19:00
  • 【定休日】月曜、不定休
  • 【アクセス】東武東上線「志木駅」より16分

文:森脇慶子 写真:馬場敬子

森脇 慶子

森脇 慶子 (ライター)

高校時代、ケーキ屋巡りとケーキづくりにハマってから食べ歩きが習慣となり、初代アンノン族に。大学卒業後、サンケイリビング新聞社で働き始めたものの、早々に辞めて、23歳でフリーとなり、食専門のライターとして今に至る。美味しいものには目がなく、中でも鮎、フカヒレ、蕎麦、スープをこよなく愛している。