「Shinfula」10個のケーキ。
フロマージュアス|「Shinfula」のケーキ⑩。

フロマージュアス|「Shinfula」のケーキ⑩。

レストラン出身の中野慎太郎シェフにとって、チーズケーキは未経験の菓子だった。ケーキ屋を営むと決め、自分らしいチーズケーキを模索する。「Shinfula」がオープンしたとき、ショーケースにスペシャリテとして並んでいたのはチーズケーキだった。

レストラン出身のパティシエがつくるチーズケーキ。

スフレとレアとベークド。三種類のチーズケーキを合わせた、中野慎太郎シェフの欲張りなスペシャリテが「フロマージュアス」だ。
ずっとレストラン畑を歩いてきた中野シェフにとってチーズケーキは、アンタッチャブルだった。レストランでは、デザートの前にチーズをプレゼンテーションすることが多いため、チーズ系のデザートはまず出さないからだ。

ケーキ
「フロマージュアス」578円。“アス”はフランス語で“A(エース)”の意味。中野慎太郎シェフの奥様が大好きなチーズで「Shinfula」の代表的なケーキをつくりたい、という想いが込められている。

「とはいっても、ケーキ屋さんにチーズケーキは必須」。そう思った中野シェフ。
スフレ、レア、ベークド、などなど……どれにしようかいろいろ考えあぐねた結果、行きついたのがこの三種混合。イメージしたのは、様々なチーズを客に披露するレストランの“チーズワゴン”だ。
「もとは乳なのに菌の働きでいろいろな種類のチーズができるように、チーズケーキも、同じ材料からタイプの違うものをつくるのが面白いかなと思って」と中野シェフは語る。

配合や焼き方などで、バリエーションが生まれるわけで、それらをひとつのケーキで表現する。これも、レストランのパティシエを経験してきたからこその発想かもしれない。

ケーキの断面
上から蜂蜜漬けのレーズンとアーモンド、きな粉風味のクランブルとベークドチーズ、レアチーズ、イチジクとオレンジのドライフルーツ、スフレチーズ。

土台はスフレチーズ、キューブ状のものがベークドチーズで、レアチーズは、生クリームのように絞り出してある。
さらに断面を見てみると、中に、レーズンやプルーン、イチヂクにオレンジなどのドライフルーツがぎっしりと隠されていた。チーズに蜂蜜をかけることもあるからとフルーツを蜂蜜漬けにした芸の細かさもさすが。
ベークドと共に散らしたクランブルはバケットをイメージ。きな粉の香ばしさが、チーズケーキのまろやかな味わいに抑揚をつけている。

――つづく。

店舗情報店舗情報

Shinfula
  • 【住所】埼玉県志木市幸町3-4-50
  • 【電話番号】048-485-9841
  • 【営業時間】11:00~19:00
  • 【定休日】月曜、不定休
  • 【アクセス】東武東上線「志木駅」より16分

文:森脇慶子 写真:馬場敬子

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森脇 慶子(ライター)

高校時代、ケーキ屋巡りとケーキづくりにハマってから食べ歩きが習慣となり、初代アンノン族に。大学卒業後、サンケイリビング新聞社で働き始めたものの、早々に辞めて、23歳でフリーとなり、食専門のライターとして今に至る。美味しいものには目がなく、中でも鮎、フカヒレ、蕎麦、スープをこよなく愛している。