「Shinfula」10個のケーキ。
イチゴのミルフィーユ|「Shinfula」のケーキ⑨。

イチゴのミルフィーユ|「Shinfula」のケーキ⑨。

中野慎太郎シェフが披露する9個目のケーキは「イチゴのミルフィーユ」。洗練された見た目に、バルサミコを添えるアイデアが都会的だが、ケーキを支える土台は、ザックリとした食感のパイとカスタードクリームの伝統的なつくりになっている。中野シェフのケーキ哲学を表すケーキのひとつだ。

お客様ファーストのミルフィーユ。

真っ赤なイチゴがひときわ目を引く艶やかなミルフィーユ。その華麗な姿から、菓子の皇帝“ナポレオンパイ”とも呼ばれ、スイーツラバーにとってまさに憧れの逸品と言っても良いだろう。
「パイ生地をしっかり食べて貰うのが目的の菓子だと思うので、ホロホロっと口どけが良いフィユタージュアンヴエルセ(逆折り込みパイ生地)ではなく、食べ応えのある食感が特徴の折りたたみ生地フィユタージュオルデイネールにしています」と、中野慎太郎シェフは言う。
言葉通り、フォークを入れるや、ザクッという手ごたえに美味の予感が脳裏をよぎる。

ケーキの断面
パイでカスタードクリームを挟むミルフィーユは、食べるときに型が崩れがち。「Shinfula」では食べやすいようにとパイを縦向きにして仕上げる。

ハラリと崩れ落ちるパイ生地は、まさに千枚の葉の意味を持つケーキ名そのものだ。
発酵バターの香り溢れるフィユタージュにクリーミィなカスタードクリーム、そこに焼いたメレンゲを加えて軽やかさを増したクリームシャンティ、真っ赤なイチゴとくれば、もう美味しさの方程式は完璧だろう。

焼いたメレンゲを加えたのは、メレンゲのショートケーキ“ヴァシュラン”から着想を得た。

また、スポイトのような容器に入っているのは煮詰めたバルサミコ。定番的なケーキだからこそ、どこかに自分らしいエスプリをと考えた時に思いついたのがこのふたつだ。

ケーキ
「イチゴのミルフィーユ」550円。クリームの中に忍ばせたフラボワーズジャムと、スポイトで垂らすバルサミコでコクのある酸味を加える。

曰く「ヴァシュランは、イチゴと本当によく合うし、バルサミコ酢を合わせたのは、成澤シェフの往年のスペシャリテ“フォアグラとイチゴのコンビネーション”にヒントを得て」。バルサミコの酸味が、全体に重くになりがちな甘さを切る役割を果たしている。

――明日へつづく。

店舗情報店舗情報

Shinfula
  • 【住所】埼玉県志木市幸町3-4-50
  • 【電話番号】048-485-9841
  • 【営業時間】11:00~19:00
  • 【定休日】月曜、不定休
  • 【アクセス】東武東上線「志木駅」より16分

文:森脇慶子 写真:馬場敬子

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森脇 慶子(ライター)

高校時代、ケーキ屋巡りとケーキづくりにハマってから食べ歩きが習慣となり、初代アンノン族に。大学卒業後、サンケイリビング新聞社で働き始めたものの、早々に辞めて、23歳でフリーとなり、食専門のライターとして今に至る。美味しいものには目がなく、中でも鮎、フカヒレ、蕎麦、スープをこよなく愛している。