うどんとラーメンで食べつなぎ、待望のゴーー~~ーール!松本を出立したことが、遠い昔のよう。岡山県から福岡県の間には広島県と山口県しかないのに、これがえらい遠いんですね。とは言え、いつの間にか長時間の電車移動に抵抗がなくなる自分もいたりして、旅は不思議なり。
翌朝、津山発7時54分の岡山行きで旅を再開。朝食は岡山駅でぶっかけうどんを食べてみた。知名度では讃岐うどんが圧倒的だが、岡山のうどんも味では負けていないと僕は思う。
本日の移動距離は433.5km。ここから先はだいたい2時間ごとの乗り換えになる。昨日さんざん乗っただけに、もはや「2時間ね、はいはい」としか感じない。
「それにしても混んでる。海外の観光客も多いけど、どこに行くんだろう」
やがて答えがわかった。倉敷と尾道でドヤドヤと降りていったのだ。彼らは料金の高い新幹線より、安価で景色をゆったり楽しめるローカル線旅行を好むのだろう。
到着までの最後の食事となる昼食は岩国駅。地元の店に入ってみたいので、1本電車を遅らせて改札の外に出てみた。気温はおそらく35度を超えているに違いない。危険な暑さだ。再開発中なのか、駅前はガランとしている。といって遠出する時間はないしなあ。と、町中華らしき店があるではないか。よし、あそこにしよう。
「いいね! 昨日から米食ってないけど、こんな日だからこそラーメンだ」
カンゴローが即座に賛成した。頬を汗が伝っている。
「塩分補給にもなるしね。米は実家で食えばいいんだから」
移動につぐ移動で、我々は少し判断力が鈍っているのかもしれなかったが、本当に塩分不足だったのだろう。ラーメンスープが身体に染みていくようだった。
ここからは追い込みだ。岩国→新山口→下関まで3時間半、関門海峡をくぐれば九州に上陸である。門司駅で乗り換え、最後の電車に乗り込む。
そして18時21分、鹿児島本線終着駅に電車が滑り込んだ。
ゴール!!
松本を出発してから34時間32分、いやー、“時間の贅沢”にも程がある。
――明日も読んでねー。
文:北尾トロ 写真:中川カンゴロー