「四川家庭料理 中洞」の十皿
豚スペアリブの煮込み|「四川家庭料理 中洞」の六皿目

豚スペアリブの煮込み|「四川家庭料理 中洞」の六皿目

六皿目は豚スペアリブの煮込み。日本で煮込みといえば醤油と砂糖が基本だけど、中国ではどうなのか。四川省流は?「トマトと卵のとろとろ炒め」と合わせて食べたいスペアリブの煮込みの秘訣は、店ごとで調合する煮汁にあるようです。

冷めても旨い、秘伝の煮汁。

中国の四川省では、煮込み料理をよく食べるという。
日本で煮込みといえば醤油と砂糖とくるところだが、四川では塩、水あるいはスープ、そして香辛料が基本なのだという。

香辛料が香る!972円(3本)。1本324円でも注文できる。
香辛料が香る!972円(3本)。1本324円でも注文できる。

「四川家庭料理 中洞」店主の中洞新司(なかほらしんじ)さんは言う。

「四川は岩塩の良質な産地として有名な地なんです。現地でもよく食べられている煮込みは、その塩を使い、香辛料がしっかり入ります。香辛料は多彩ですよ。たとえば八角や桂皮(けいひ/クスノキ科ニッキの樹皮)、フェンネルなんかがよく使われます。それらの煮汁を“ルースイ”というのですが、これがその店ごとの秘伝の調合で、煮込みの味の決め手というわけです。ただこれだけでは料理の色味が白っちゃけてしまうので、現地ではカラメルを入れるんです。単に色付けのためですね」

中洞さんは、現地であちらこちらのルースイも見てきた。
では、「中洞」のそれはどんなものなのか?

香辛料をふんだんに。ビールが進んじゃって困ります。

「塩、水に、定番の八角、桂皮、フェンネル、ローリエ。味をさっぱりとさせるカルダモンの実を乾燥させた白蔻(ばいこう)、肉の臭みを消す生姜科の植物の草果(ツォーゴォ)なんかを配合しています。すべて血行をよくする漢方ともいえますよね。日本で手に入らないものも多いので、香辛料は現地へ行って買ってきます」

色は濃いが、すっきりした味に仕上げる「中洞」流の煮込み。ビールが進む!
色は濃いが、すっきりした味に仕上げる「中洞」流の煮込み。ビールが進む!

では件のカラメルを「中洞」はというと、「砂糖と水を煮詰めて、焦げる一歩手前まで詰めたものを加えます。こうしてつくった煮込みは、色は濃いのにすっきりしているんです。ふっと入ってふっと抜けていくような」。

コクが豊かで香り高く余韻も長い、豚スペアリブの煮込み。
ビールが進む格好のアテになることも付記しておこう。


――明日につづく。

店舗情報店舗情報

四川家庭料理 中洞
  • 【住所】東京都文京区千石4‐43‐5
  • 【電話番号】03‐5981‐9494
  • 【営業時間】11:00~14:00(L.O.)、17:00~21:00(L.O.)
  • 【定休日】月曜(祝日の場合は火曜)
  • 【アクセス】JR・都営地下鉄「巣鴨駅」より7分

文:沼由美子 写真:森本菜穂子

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沼 由美子(ライター・編集者)

横浜生まれ。バー巡りがライフワーク。とくに日本のバー文化の黎明期を支えてきた“おじいさんバーテンダー”にシビれる。醸造酒、蒸留酒も共に愛しており、フルーツブランデーに関しては東欧、フランス・アルザスの蒸留所を訪ねるほど惹かれている。最近は、まわれどまわれどその魅力が尽きることのない懐深き街、浅草を探訪する日々。