日本各地から10種類のフルーツ牛乳を取り寄せました。味わいのほかにも、瓶やキャップまで様々な特徴を持つフルーツ牛乳が大集合。昔懐かしい味わいを愛する4人がフルーツ牛乳を飲みながら放談します。
フルーツ牛乳は瓶で飲むと、なぜかおいしく感じる。冷えた瓶が口元にひんやり。腰に手を当てて、ゴクリといただくのが正しい嗜み方、かな(異論もあるかと思いますが)。
たくさんの人から愛されてきた瓶詰めのフルーツ牛乳。昨今は姿を見かけることがめっきり少なくなった。
「昭和から多くの人に支持されてきて、銭湯の定番の1本だったのですが、最近は瓶詰めで製造している業者は減ってきていますね」と、御徒町と秋葉原で「ミルクスタンド」を運営する大沢牛乳の松本和則さんが教えてくれた。
フルーツ牛乳をつくっている業者はどれほど残っているのだろう。フルーツ牛乳にも個性があり、配合されるフルーツの種類だってそれぞれ。地方性もあるかもしれない。
調べてみると、あるある。瓶詰めのフルーツ牛乳を真摯につくり続けている牛乳屋さんが、あちこちに。全国規模ではなく、地元でしか流通していない商品もあった。
10種類のフルーツ牛乳を取り寄せてみた。
中身の色合いや瓶のデザイン、キャップの形まで佇まいは十本十色。個性あふれるフルーツ牛乳が集まると、まるで博覧会の様相を呈してきた。
デザートや飲み物に縁の深い4人に飲み比べてもらった。
1975年、栃木県生まれ。文筆家。銭湯が存在しない地域で生まれ育ったこともあり、フルーツ牛乳にはあまり馴染みがなかった。「牛乳への耐性は強くないが、フルーツ牛乳ビギナーとしてフラットな目線で試飲会に臨みます」と意気込む。
1983年、東京都生まれ。高校生のときに観た、映画「カクテル」のトム・クルーズに憧れてバーテンダーという職を選ぶ。西麻布「Bar Lands End」、石神井「Bar au comptoir」を経て、カクテルとジェラートの店「TIGRATO」を四ツ谷にオープン。フルーツと乳成分の組み合わせが、ジェラートづくりと同じロジックなのかが気になるところ。
1973年、新潟県生まれ。新百合ケ丘の「ウィーン菓子工房 リリエンベルグ」を経て、現在はフレンチレストラン「ラ・ロシェル 南青山店」でシェフパティシエを務める。「さらっと飲める大人な味わいのフルーツ牛乳を見つけて、デザートづくりに活かしたいです」。
1985年、山形県生まれ。イタリア料理店、ベルギービール専門店を経て、2012年「麦酒屋るぷりん」を銀座に開店。酒の試飲会にしか参加したことがなかったので、フルーツ牛乳の試飲会ではどんな味わいに出会えるのか胸が弾む。
フルーツ牛乳には、りんご、オレンジ、パイン、ピーチにバナナなど多種多様な果汁が加えられている。1種類しか混ぜていないものもあれば、6種類も配合しつつバランスを保っているものもある。
どんな果汁が配合されているかで、フルーツ牛乳の個性がわかるのだ。
まずは、フルーツの香りが高く、ピチピチとした味わいの4本をご紹介!
――明日へつづく。
文:河野大治朗 写真:馬場敬子