手づくりフルーツ牛乳の大人編は、レモンとトマトを使ったミルキーなカクテルをつくります。ミルクジンフィズと、カプレーゼをテーマにしたカクテルのレシピを「TIGRATO」の高宮裕輔さんが披露します。
「TIGRATO」の高宮裕輔さんは、今をときめく日本有数のバーテンダー。
世界的なカクテルコンテスト「バカルディ・レガシー・カクテルコンペティション」で日本代表のファイナリストになるなどの実績を持っています。
高宮さん、フルーツと乳製品で、フルーツ牛乳のようなカクテルをつくる機会は多いようです。
「フルーツを使ったカクテルの種類は、実にさまざまです。近年はリキュールだけでなく、フルーツのエキスだけを使う“ミクソロジー”という考えが広まり、一気にフルーツカクテルの幅が広がりました」
フレッシュなフルーツをカクテルに使うようになったのは、この20年ぐらいとのこと。それ以前はレモンかライムのジュースや、フルーツを添加したリキュールを使うのが主流だったと、高宮さんは言います。
フルーツ牛乳レシピの大人編は、レモンと牛乳を使った伝統的なカクテルと、トマトとヨーグルトのエキスを抽出してつくる本格カクテルの2種類をつくります。アルコールを使ったフルーツ牛乳を紹介します!
「レモンとジンと牛乳でつくるミルクジンフィズは、戦後から愛されている伝統的なカクテルです」
高宮さんがレモンを片手にとって教えてくれました。
「日本バー文化の黎明期を支えた『東京會舘』が考案したので、別名“會舘フィズ”とも言います」
「東京會舘」に通っていたアメリカ海兵が、酒を飲んでいることが上官にばれないよう、牛乳を混ぜたカクテルをオーダーしたのが始まりと言われているそうです。確かに酒には見えません。
「牛乳のまろやかさがアルコール感を包み込んでいるので、とても飲みやすいです。さしずめ、大人による大人のためのフルーツ牛乳といった所ですかね」
ジン | 30ml |
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ガムシロップ | 15ml |
牛乳 | 90ml |
レモンジュース | 10ml |
ソーダ | 適宜 |
ジン、シロップ、牛乳、レモンジュースをグラスに入れる。
グラスの中をマドラーで混ぜ合わせ、氷を入れる。
氷とグラスにあてないように、ソーダを注いで完成!
「最後は、トマトとバジルとホエー(乳清)を合わせたカクテルです。カプレーゼの要素を詰め込みました」と言い、スッとグラスを差し出す高宮さん。
確かにフルーツ(?)と乳製品を合わせてはいるけど......。
もはや、フルーツ牛乳の枠を飛び越えているのでは?
グラスをゆっくりと口に運びます。
あれ?......この味は。
赤くはないし、白くもないけど、確かにカプレーゼだ!
そして、ホエーのミルキーな味わいがトマトのフルーティな香りを優しく包み込んでいます。
この味は、ニューフルーツ牛乳と呼べるのでは?!
「それぞれの食材のエキスを抽出するので、少し手間はかかりますが、一度つくってみる価値は大いにありますよ!」
高宮さんは太鼓判を押します。
ぜひ、この驚きの味わいを家庭でも!
トマト | 1個 |
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バジル | 10g |
ヨーグルト | 450g |
ウォッカ | 710ml |
レモンジュース | 10ml |
黒胡椒 | 適宜 |
トマトを5cm角にざく切りして、鍋で中火にかける。沸騰直前で火を止め、コーヒーフィルターで裏漉して、トマトのエキスを抽出する。1人分40mlを使う。
バジルとウォッカ700mlをミキサーに入れる。蓋を閉め、バジルの形がなくなるまで撹拌する。コーヒーフィルターで裏漉して、バジルウォッカをつくる。1人分30mlを使う。
ヨーグルトをコーヒーフィルターで裏漉して、ホエーを抽出する。1人分30mlを使う。
トマトエキス40ml、バジルウォッカ30ml、ホエー30ml、ウォッカ10ml、レモンジュースをグラスに入れる。
グラスの中をマドラーで混ぜ合わせ、氷を入れる。最後に黒胡椒をふりかける。
1983年、東京都生まれ。高校生のときに観た、映画「カクテル」のトム・クルーズに憧れてバーテンダーという職を選ぶ。西麻布「Bar Lands End」、石神井「Bar au comptoir」を経て、2018年にカクテルとジェラートの店「TIGRATO」を四ツ谷にオープン。
手づくりフルーツ牛乳のレシピは、今回で最終回。
キウイ、イチゴ、バナナ、パッションフルーツ、レモン、トマト。スーパーで手に入りやすい材料で、家の牛乳の味わいは鮮やかにグレードアップします。ぜひ、つくってみてくださいね!
おわり。
文:河野大治朗 写真:馬場敬子 イラスト:tontam