カクテルとジェラートの店「TIGRATO」店主の高宮裕輔さんが、フルーツ牛乳のつくり方を披露します。ジェラートのような味わいのバナナミルクと、パッションフルーツを使ったトロピカルミルクに感涙です。
「TIGRATO」には、バーのほかにもうひとつの顔があります。それは、ジェラテリア。
昼下がりには、店主の高宮裕輔さんがつくるジェラートを求める客で、店内は大いに賑わいます。
「フルーツ牛乳とジェラートは、味の組み立て方が似ているんです」
高宮さんは教えてくれました。
「どちらも、フルーツと乳製品の組み合わせです。大切なことは、食感、甘味、酸味のバランスです」
どれかひとつが突出してしまうと、フルーティな香りとミルキーな味わいがすっぽりと隠れてしまうそう。
あたり前だけど、フルーツと牛乳のどちらの風味もしっかり感じてこそのフルーツ牛乳なのだ。
高宮さんが披露するのはバナナとパッションフルーツを使ったフルーツ牛乳。バーテンダーとジェラート職人の技が光るレシピです!
「バナナと牛乳しか使いません」
高宮さんは宣言します。
「ポイントは、バナナの皮が真っ黒になるまで熟成させてから、ひと晩、冷凍庫でねかせることです」
えっ、バナナを真っ黒にしちゃうんですか?
「バナナの皮が黒くなるのは、熟成して甘味が強くなる証拠。糖度が高い果物は、冷凍庫に入れても完全には凍らないんです」
糖度が高いと凍らないのは、“モル凝固点降下”という何やら難しい作用が関係しているそうだ。
「キンキンに冷やしたバナナを刻んで、牛乳と一緒にミキサーで回せば、濃厚なバナナミルクの完成です。冷たいバナナが乳脂肪分を固めて、とろりとした口当たりになります。老若男女に愛される味わいだと思いますよ」
バナナ | 1本 |
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牛乳 | 90ml |
皮が真っ黒になったバナナを剥き、ラップで包んで冷凍庫で、ひと晩ねかせる。
冷凍庫から出したバナナを1cm幅に刻んで、牛乳と一緒にミキサーへ入れる。
ミキサーの蓋を閉め、スイッチを入れる。バナナの形がなくなり、液体にとろみがついたらグラスへ注ぐ。
「次は、パッションフルーツを使います」
夏のフルーツといえば、パッションフルーツですね!最近は、スーパーでも見かけるようになりました。
「パッションフルーツは断面に砂糖をまぶして、軽く炙ると表面がキャラメリゼされてとてもおいしいんです。デザート感が増しますよ」
高宮さんは、熱をこめて続けます。
「パッションフルーツは、味の主張が強いので、まろやかな乳製品との相性は抜群です。種はえぐ味がないので、軽く潰して果肉と一緒に加えてください。バリバリと口の中で噛めるので食感が楽しくなりますよ」
パッションフルーツ | 1個 |
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ガムシロップ | 15ml |
牛乳 | 50ml |
グレープフルーツジュース | 30ml |
レモンジュース | 5ml |
ミント | 2g |
グラニュー糖 | 適宜 |
パッションフルーツを半分に切る。片方の断面にグラニュー糖をまぶして、バーナーで焦げ目がつくまで炙り、キャラメリゼする。
キャラメリゼしていないパッションフルーツの果肉と種を、グラスに入れる。棒で果肉の形がなくなるまで潰す。
シロップ、牛乳、グレープフルーツジュース、レモンジュース、ミントをグラスに入れる。クラッシュアイスでグラスを満たして、マドラーでよく混ぜる。キャラメリゼしたパッションフルーツを上に乗せたら完成。
1983年、東京都生まれ。高校生のときに観た、映画「カクテル」のトム・クルーズに憧れてバーテンダーという職を選ぶ。西麻布「Bar Lands End」、石神井「Bar au comptoir」を経て、2018年にカクテルとジェラートの店「TIGRATO」を四ツ谷にオープン。
――つづく。
文:河野大治朗 写真:馬場敬子 イラスト:tontam